相続のよくある質問

質問相続で取得している空き家このまま放置で良いの

数年前に両親が相次いで他界し、両親が住んでいた家が空き家になってから、そのままにしています。
そろそろ、どうするか考えないと、と思っているのですが、いつか売れば良いと後回しにしてきました。
空き家法ができたり、世の中では空き家に関するネタもよく聞くようになりました。
やはり、早めに売る手続きをした方が良いでしょうか。
ちなみにその家は、まだ父名義のままです。

答え空き家を売るなら今のうち!

そうですね、土地などの不動産については、「いつか売れば良い」「いつでも売れる」と後回しにしている方はとても多いです。
また、売り時がわからず、放置という方も多いのではないでしょうか。
こちらに関しまして、今は売り時だと考えられます。
その理由としては、下記に示しますが、売ることは決めているのであれば、平成31年12月までには、売却をするのが良いです。
ちなみに、名義がまだお父様名義のままとのことですが、まず売るために、この相続登記をする必要があります。

1、今売却をした方が良いと考える5つのポイント

①「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空き家法とはこちらですね。以下「空家対策特別措置法」)によって適正な管理がされていないと自治体が判断した一定の空き家を強制的に解体することができるようになったこと(所有者費用負担)

②空き家解体の補助金制度があること

③適正な管理がされていない空き家の固定資産税等について「住宅用地の特例」が適用できない場合ができたこと

④空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例が設けられたこと

⑤不動産市場がHOTなこと(地域などによります)

2、強制解体や固定資産税等の増税の対象になる空き家とは

空家対策特別措置法では、空き家全体を「空家等」と定義し、その中でも早急に対策が必要な空き家を「特定空家等」に分類しています。
特定空家等とは、空家対策特別措置法第2条で次のように定義されています。

•そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
•著しく衛生上有害となるおそれがある状態
•適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
•その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

特定空き家に指定されれば、すぐに解体の対象となるわけでは有りませんが、固定資産税等の増税はその翌年までに状況が変わらなければ、指定されたことを以って対象となります(固定資産税・都市計画税は毎年1月1日が基準日となっていますので、もし特定空き家に指定されたとしても、年内にその状況を改善すれば住宅用地の特例を引き続き受けることができます)。

3、空き家解体の補助金制度

実は、空き家の解体にかかる補助金制度は、空家対策特別措置法が施行された後にできた制度では有りません。
解体費用の補助は、多くの自治体で行われているので、対象の空き家がある地域に、補助金がないか、確認してみましょう。
補助金を受けることのできる条件は自治体により異なっていますが、旧耐震基準で建築されているものや防火地域等の地域指定があることがほとんどのようです。
補助金の金額は、解体工事費用の半分や1/3など、自治体により様々です。

4、空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例

平成28年税制改正大綱で「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」が発表されました。空き家の売買を活発にして、空き家を減らしていく目的で定められました。

これは、一定の条件を満たした空き家の売却に対し、3,000万円の特別控除を行うというものです。
平成28年4月1日から平成31年12月31日のあいだの売却が対象となります。

ここで、「一定の条件」とは

•相続開始まで自宅で、相続により空き家になった。
•昭和56年5月31日以前に建築された。
•マンションなど、区分所有建物ではない
•相続から3年を経過する日の属する12月31日までの譲渡であること
•売却額が1億円を超えないこと
•相続から空き家以外になっていないこと(使用履歴がないこと)
•行政から要件を満たす証明書等が発行されていること

以上の条件を「すべて満たす」必要があります。敷居が高い印象がありますが、控除額3,000万円はとても高額ですから、お持ちの空き家が条件に当てはまるかどうか、確認してみてください。