(1)相続税の計算方法の概要

相続税の計算は、下記の4段階の手順で行います。

① すべての財産を洗い出して、評価します。
② ①から、債務などがあれば差し引きます。
③ ②から、非課税財産を差し引きます。

(参考)相続財産額を計算してみよう
(参考)非課税財産とは

④ ③から、基礎控除額を差し引きます。

(参考)相続税の基礎控除

⑤ ④を法定相続分で分けます。

(参考)法定相続分を知ろう

⑥ ⑤で分けたそれぞれの法定相続分がどれぐらいかによって、下記の税率を乗じてそれぞれの相続税額を出します。この相続税の総額を算出する段階においては、実際に誰がどう相続するかで税率を変えられるわけではありません。あくまで法定相続人が法定相続分で相続した場合を前提として算出します。

(参考)<相続税の速算表>
課税価格 相続税
税率 控除額
1,000万円以下 10% なし
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

⑦ ⑥で算出されたそれぞれの相続税額を合算して相続税の総額を出します。

⑧ ⑦を実際の遺産分割割合で分けて、各相続人が負担すべき税額を相続税の総額を按分して出します。
⑨ ⑧から各人の加算額・控除額を加減して、相続税の納付額が確定します。

(2)相続税の計算方法の具体例

以下のようなご家族がいたとします。
【前提】家計図

お父様がお亡くなりになられた場合に、相続税はどのように計算するのでしょうか。
お父様の財産構成は、以下の通りだったとします。

【前提】課税価格

この場合、上記のうち、第三段階までの部分を図にすると、以下のような仕組みになります。

計算図

次に、実際の支払額を計算するために、各自の実際の遺産分割を下記のように行ったとします。

遺産分割

この分割で実際に支払う相続税額を計算すると総額で、6,454万円となります。

相続税額


相続税の税率は下記のように、いわゆる累進税率となっており、課税価格が多ければ多いほど高い税率がかかる仕組みになっています。

課税価格 税率
0~1,000万円 10%
1,000万円~3,000万円 15%
3,000万円~5,000万円 20%
5,000万円~1億円 30%
1億円~2億円 40%
2億円~3億円 45%
3億円~6億円 50%
6億円~ 55%


※贈与税の税率も相続税の税率と同様に超過累進税率となっていますが、贈与税の税率は課税価格3,000万円(特定の直系親族間での贈与の場合は4,500万円)を超えると最高税率の55%の税率がかかることになりますので、贈与税の税率よりも相続税の税率の方が上がり方は緩やかということになります。
但し、贈与税は暦年ごとの課税であるため、複数年に渡って贈与を実施することで累進税率が上がることを避けられることもあります。

(相法11~17、19の2、21の7、相基通16-1、20の2-4)