相続のよくある質問

質問相続が始まったら、まず何をすればいいの?

先日父が亡くなりました。まず葬儀の手配をしなければならないけど、その他にもやることがたくさんありそう。相続財産もかなりあるので、遺産分割や相続税の申告も必要みたい。一体まず何から始めてどんなスケジュールで行えばいいの?

答え相続発生後の手続きは期限があるものを優先して

相続開始後は、葬儀関係の手配のほかにも、名義変更や税金関係の手続きなど、すべきことがたくさんあります。期限があるものや、相続発生後速やかに行わなければならないこともあります。
まず、それら相続に関する手続きを表で見てみましょう。

遺族が行わなければならない相続手続き

①葬儀後の手続き
 葬儀代の支払い、医療費の清算、介護代の清算
②市区町村役所の手続き
 社会保険の手続き、世帯主の変更、住民税の手続き、固定資産税の手続き
③年金事務所の手続き
 国民年金、厚生年金、共済年金及び企業年金の手続き
④金融資産等の手続き
 銀行・証券会社での相続手続き、株式の名義変更、生命保険の手続き、保険金の請求等
⑤不動産の手続き
 自宅の名義変更、投資用不動産の名義変更、その他不動産の名義変更
⑥その他の手続き
 公共料金の変更、携帯電話の解約、クレジットカードの解約、自動車の名義変更等その他手続


表を見ていくと行わなくてはならない手続きが非常に多いことがわかります。
では、次に期限が早いものから大まかな手続きの流れを見ていきましょう。

<死亡届、死亡診断書>
死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内に死亡者の死亡地、本籍地または届出人の所在地市区町村役場に出さなければなりません。
死亡届は死亡診断書とセットになっており、死亡診断書は医師に記載してもらう必要があります。

<遺言の有無の確認>
相続の手続きを始めるにあたり、まずは遺言の有無を確認しましょう。
相続手続きがすべて完了した後に遺言書が出てきた場合は、手続きをやり直すことになってしまうこともあります。そのためにも、遺言の有無、ある場合はどこに保管してあるかを信頼できる人に伝えておいてもらうと良いでしょう。公正証書遺言の場合は公証役場でも保管されています。
また、自筆証書遺書があった場合は、まず裁判所に検認手続きを取る必要があります。この手続きは、完了するまでに2、3ヶ月かかりますので、早急に行ってください。

<法定相続人の調査>
亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を入手し、法定相続人を確定させます。
法定相続人がご兄弟の場合で、そのご兄弟の中にお亡くなりになられている方がいる場合は、沢山の戸籍が必要になりますので、早めに取得することをお勧めします。

<相続財産の調査>
亡くなった方のすべての財産(負債も含む)を調査します。
金融資産(預貯金、有価証券など)、不動産、出資金、債権債務、生命保険金等を確認します。

<相続放棄・限定承認>
相続放棄と限定承認をする場合は、相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。
相続放棄とは、相続財産に関するすべての権利や義務を放棄することです。財産より借入金の方が多い場合も、相続放棄をすれば借入金を引き継ぐことはありません。
限定承認とは相続によって受け継ぐ財産の限度内で借金などの債務を引き継ぐことです。借金の方が多い場合でも相続人の財産で返済をする必要はありません。

<準確定申告・納付>
被相続人に所得があった場合、相続人が所得税の申告及び納付を行う必要があります。
これは相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に行わなければなりません。

<遺産分割>
相続人と財産が確定したら、誰が何を引き継ぐか=遺産分割協議を行います。これは相続人全員による話し合いが必要になります。
話し合いがまとまれば、「遺産分割協議書」を作成します。この遺産分割協議書に従って遺産の名義変更や解約の手続きを順次行います。

<相続税申告・納付>
相続税申告書を所轄税務署に提出し、かつ納税を済ませます。これは相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に行わなければなりません。
相続税がかからない場合でも「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」などの税制面での特例を受ける場合は、税務署に申告する必要があります。これらの特例は、原則として申告期限までに遺産分割協議がまとまらないと適用できないとされていますので、余裕を持ったスケジュールで進めましょう。

相続手続きチェックリスト