相続のよくある質問

質問相続税対策としての生前贈与もいろいろあるんですよね

相続税がどれくらいかかるかを自分で計算してみたところ、少し税金が発生しそうだということがわかりました。そこで、生前贈与をしようと思うのですが、特例がいろいろあるようですね。どんな特例があるのでしょうか。

答え6種類の贈与をご紹介します

生前贈与と一言で言っても、今は、様々な特例を利用することもできますので、どんなものがあって、どういうものなのかを簡単に説明しますね。

非課税贈与の早見表

(1)暦年贈与の基礎控除額を使う

暦年贈与の課税対象期間は、1月1日~12月31日までの1年間の間に受贈者(財産をもらった人)が取得した財産の合計額をもとに贈与税が課税されます。贈与税には110万円の基礎控除額が設けられています。つまり、課税対象期間中に受け取った財産が110万円以下であれば贈与税がかからずに財産を取得することができます。これを上手く使うことで、大幅な節税対策を図ることができます。例えば、毎年110万円ずつ贈与した場合、10年後には1,100万円を贈与税がかからずに財産の承継をすることができます。
ただし、相続開始前3年以内に受けた贈与財産については相続税の課税対象となり、相続税が課税されます。また、基礎控除内で行った贈与等については、名義預金にも注意が必要です。

(2)おしどり贈与(贈与税の配偶者控除)

婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例です。適用を受ける為には、贈与税の申告が必要となります。

(3)住宅取得等資金贈与の特例

父母や祖父母等の直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築の対価に充てるための金銭を取得した場合において、一定の要件を満たす場合は一定の金額(消費税が10%にならない場合、平成28年度内の契約締結で最高1,200万円)まで贈与税が非課税となる特例です。贈与者に制限はありませんが、受贈者は贈与年1月1日において20歳以上の子(代襲相続人を含む)又は贈与年1月1日において20歳以上の孫である必要があります。適用を受ける為には、贈与税の申告が必要となります。

(4)教育資金一括贈与

30歳未満の者の教育資金に充てる為に、父母や祖父母等の直系尊属が金銭等を出し、金融機関に信託等をした場合には、受贈者1人につき1,500万円(学校以外の物については500万円)までの金額については贈与税が非課税となります。
ただし、受贈者が30歳を過ぎた時に使い残した金額があった場合は、その金額に対して贈与税がかかってしまう為、注意が必要です。
この規定の適用を受けようとする受贈者は、一定の日までに教育資金の支払いに充てた金銭等に係る領収書を取扱金融機関の営業所等に提出しなければなりません。

(5)結婚・子育て資金一括贈与

20歳以上50歳未満の結婚・子育て資金に充てる為に、父母や祖父母等の直系尊属が金銭等を出し、金融機関に信託等をした場合には、受贈者1人につき1,000万円(結婚資金については300万円)までの金額については贈与税が非課税となります。
ただし、受贈者が50歳を過ぎた時に使い残した金額があった場合は、その金額に対して贈与税がかかってしまう為、注意が必要です。また、贈与者の相続が発生した時点での残高金額は、相続税の課税対象となります。
この規定の適用を受けようとする受贈者は、一定の日までに結婚・子育て資金の支払いに充てた金銭等に係る領収書を取扱金融機関の営業所等に提出しなければなりません。

(6)相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、生前に贈与を行う時には2,500万円までが特別控除となりますが、その代わり、相続時に「贈与された財産」と「相続した財産」の合計額に対して相続税がかかる、いわば相続財産の前渡しができる制度です。
適用対象者は、贈与者については贈与年の1月1日において60歳以上の父母や祖父母等の直系尊属、受贈者については贈与者の推定相続人である贈与年の1月1日において20歳以上の子(代襲相続人を含む)又は同日において20歳以上の孫であるである必要があります。
この制度を適用するためには、最初の贈与を受けた年の翌年の贈与税申告期間に、贈与税の申告書に相続時精算課税選択届出書を添付して受贈者の所轄税務署長に提出(届出)する必要があります。