相続のよくある質問

質問自宅の不動産 相続まで待つ?生前贈与?①

私の父は、世田谷の自宅と少しの貯金があります。父もだいぶ年をとってきているし、今は別々で暮らしているのですが、そろそろ自宅に戻って、一緒に暮らすことを考えています。そのとき、できることなら、相続を待たずに自分の所有にしたいと思っています。父もそれでも良いと言ってくれています。
ただ、税金のことが心配です。
今、自分のものにするよりも、相続を待ったほうが良いのでしょうか。
自宅の路線価は、40万円で、広さは100㎡です。
母は健在で、兄弟は、私の他に姉がいますが、嫁いでいます。

答えどちらでも税額は変わりません

そうですね。相続まで待った方が良いのか先に贈与しても大丈夫なのかを迷っている方は多いです。ですが、これはその対象となる財産やそれ以外の財産がどういう種類でどれくらいの価値かによっても異なりますので、各ケースによって、回答は異なります。
今回のご相談者様の場合は、財産が単純に自宅の土地のみ(4,000万円)であったと仮定すると、原則として、贈与税が1,530万円(※)発生することになります。
ですが、例えば、相続時精算課税という生前贈与の制度を使うこともできます。この制度は、生前に多額の贈与をする場合、この制度を選択して申告すれば、2,500万円までの贈与は非課税ですよ、というものです。そして、それを超えた部分に一律20%で税金がかかってきます。
これを、実際に相続が発生したときに、贈与時の評価で財産を持ち戻して相続税を計算し、既に支払った贈与税があれば、これを相続税額から控除できるのです。
今回のケースですと、贈与時に300万円の贈与税を納付しますが、相続時には、税額は発生しませんので、300万円が還付されます。
この制度を利用すれば、一度税金を納付する必要がありますが、トータル的には、相続まで待つ場合と税額は変わらないことになりますね。
ただし、贈与時にも相続時にも申告の手続きをしなくてはなりませんから、相続まで待った場合に比べたら、手間と手続き費用が少しかかるかもしれません。

(※)ご相談者様が20歳以上であると仮定して、特例税率を適用しています。