これまで仕事一筋でやってきた自分も、気がついたら65歳になっていました。
現在、定年退職となりひとり暮らしをしています。
一度、結婚はしましたが離婚をして子供もおりません。
わずかの財産があり、年金生活で毎日をおくっていますが、実家の歳老いた両親を見ていると、自分の今後のことが心配になりました。
子供にも頼れない私は、どうしたらいいでしょうか?
そんな心配を払拭するために、この場合、「任意後見制度」を利用して、「任意後見人」を決めておくことをお勧めします。
判断能力がしっかりしている内に、将来の万が一に備えて、自分の財産管理や身の周りの援護を行ってくれる人を、自分が信頼できる人に頼んでおくというものです。
任意後見契約においては、任意後見人をだれにするか、どこまで後見事務の仕事をお願いするかは、話し合いで自由に決めることができます。
今回は、その手続きとメリットデメリットを簡単に下記にご紹介します。
判断能力に不安はないものの、今から支援を受けたいといった場合には、移行型と呼ばれる方法で「任意代理契約」と「任意後見契約」の双方の契約を結びます。「任意代理契約」は当事者間で結びます。その契約に定めた内容に基づき任意代理人の支援が始まります。同時に任意後見契約手続きを公証役場で行います。
この時点では依頼人から委任を受けた支援者は、「任意後見受任者」としての立場になります。
公証人役場で公正証書を作成するため、以下の費用がかかります。
① 公正証書作成の基本手数料: 11,000円
② その他登記手数料:嘱託手数料、印紙代等(具体的な金額はご利用の公証役場にご確認下さい)
やがて委任者に認知症の症状が出始めた場合に、任意後見受任者が家庭裁判所に申し立てをして、今度は、「任意後見監督人」の選任をしてもらいます。
任意後見監督人は、委任者が選んだ後見人がきちんと仕事をしているかチェックを行い不正なども防ぐ人です。
「任意後見監督人」選任後、「任意後見受任者」は、はじめて「任意後見人」になります。
>申立書・申立書付表(家庭裁判所)
>任意後見契約公正証書(写し)
>本人の戸籍謄本、成年後見等に関する登記事項証明書(法務局)、診断書
>任意後見監督人候補者の住民票 他
>本人(依頼人)の住所地の家庭裁判所
>申立費用:登記費用の収入印紙800円・1,400円、切手3,000~5,000円程度
>鑑定費用(医師による精神鑑定が必要な場合):5万円程度
※詳細は、本人(依頼人)の住所地の家庭裁判所にお問合せ下さい。
最後に、任意後見制度を利用するメリット・デメリットをまとめてみました。
■本人の判断能力が低下する前に、お願いしたい人に自由に後見人を依頼することができる。
■公正証書を作成することで契約内容が登記されるので公的に証明される。
■任意後見監督人が選任されるので任意後見人の仕事をチェックできる。
■判断能力が低下すると任意後見制度は利用できない(元気なうちにしかできない制度です)。
■委任者の死後の事務や財産管理は委任できない(同時に死後事務委任契約を締結するのが一般的です)。
■任意後見制度は利用しはじめるタイミングが難しい。