財産も少額で、税金も出なさそうです。
専門家に頼むと多額の報酬がかかるので、相続税の申告書を自分で作成しようと思いますが、税務調査は入る可能性はありますか?
実際、相続財産がないのに税務調査は行われますか?
遺産を相続すると税務調査が入り実地調査が行われ、内容によっては追徴課税が課されることがあります。
税務調査は、相続財産の確認だけでなく、財産の申告漏れや不正がないかをチェックするものです。
もちろん無申告事案に対しての調査も行われます。
特に、専門家に依頼せず、相続人が自ら作成し、申告する場合と自分で申告している場合では税務調査のリスクが格段にあがります。
相続人が「相続財産が無いから自分で申告書を作成してみよう」あるいは「専門家に依頼すると報酬が高いから自分で作成してみよう」として自分で申告をするとします。
ご自身で作成することは、全く問題ございません。
税務署でも提出を受け付けますが、専門家の作成した申告書ではないので、申告漏れ、申告忘れあるいは不動産の評価が誤っている等の可能性があるので税務調査リスクが上がるのです。
国税庁より公表されている相続に関する税務調査は、年間約12,000件になります。
調査の時期は、通常、納税をした年から遅くも2.3年後に税務調査依頼の連絡がきます。
税務調査は、預貯金・有価証券のような金融資産を中心に過去5年にさかのぼって細かく入出金の流れを調査します。
理由は、不動産の申告漏れはあまりないのですが預貯金や有価証券等の金融資産は、申告漏れや隠ぺい等がよく行われるからです。
場合によっては、さらに遡って調査し、不明な点があれば、証券会社や銀行など調査することもあります。
調査の結果、把握していないかった財産が思わぬところから出てくることや、申告する前に追加で出てきた相続財産をうっかり申告し忘れてしまったということが発覚するケースが多々あります。
調査員より指摘を受け、財産が他にあるということがわかると下記の【表1】にあるペナルティを受けることになります。
【表1】
追徴課税 | ペナルティ | 税率 |
延滞税 | 相続税の納付期限(被相続人の死亡を知った日から10ヶ月以内)までに税金の納付がなされなかった場合に発生する税金です。 | ・納期限の翌日から2か月以内に納付した場合…「年7.3%」と 「前年の11月30日の公定歩合+4%」のいずれか低い方 ・納期限から2か月を超えた場合…年14.6% |
過少申告加算税 | 申告期限内に提出された申告書の金額が不足していた場合に課される追徴課税です。 | ・法定期限までに相続税の申告書を提出し、その申告書の税額が過少であった場合、自主的に修正申告をするとき…なし ・法定期限までに相続税の申告書を提出し、その申告書の税額が過少であった場合税務署に指摘されて修正申告をするとき…10% ・税額が期限内申告税額と50万円のいずれか大きい金額を超えるときの超える部分…15% |
無申告加算税 | 正当な理由なく申告期限までに申告しなかった場合に課される税金です。 | ・法定申告期限までに申告せず、自主的に期限後申告するとき…5% ・法定申告期限まで申告せず、税務調査により期限後申告するとき…納税額のうち50万円までの部分→15%、納税額のうち50万円を超える部分→20% |
重加算税 | 課税対象の財産を悪意持って隠したりした場合は、重加算税が発生します。 | ・申告書を提出した場合で、財産を隠蔽又は事実を仮装していたとき…35% ・申告書を提出しなかった場合で、財産を隠蔽又は事実を仮装していたとき…40% |
平成29年の11月に国税庁より「平成28事務年度(28年7月~29年6月)における相続税の調査の状況」が公表されています。
調査報告によると、申告漏れ相続財産の金額の内訳は、現金・預貯金等が1,070億円と最も多く、続いて有価証券535億円、土地383億円、家屋56億円とされています。
無申告事案の実地調査件数ですが、971件と前年より増加しており、非違件数や申告漏れ課税価格も増加しています。また、贈与税の調査事績も下記のとおり公表されています。
【表2】相続税の調査事績
項目/事務年度 | 27年 | 28年 |
実地調査件数 | 11,935件 | 12,116件 |
申告漏れ等の非違件数 | 9,761件 | 9,930件 |
申告漏れ課税価格 | 3,004億円 | 3,295億円 |
追徴税額 | 583億円 | 716億円 |
【表3】無申告事案の調査事績
項目/事務年度 | 27年 | 28年 |
実地調査件数 | 863件 | 971件 |
申告漏れ等の非違件数 | 655件 | 751件 |
申告漏れ課税価格 | 824億円 | 866億円 |
表でもわかる通り、無申告事案が前年より増加しているのがわかります。
実際にあった事例が国税庁より公表されているのでいくつか紹介します。
被相続人Aに係る調査により,Aは生前,自らの預金口座から出金した現金を,①相続人Bに預けていたことや,②家族名義で開設した預金口座に入金していたこと等を把握した。
Bは,これらが相続財産であることを認識していたが,現金や家族名義の預金は申告しなくても税務署には分からないと考え,相続財産から除外していた。
相続税 :申告漏れ課税価格 約2億9,000万円
追徴税額(加算税込み)約8,500万円 重加算税有
被相続人Aの相続税調査時において,相続人Bからの期限後申告の申し出の内容以外にもA名義の預金口座から不明な出金があった。
Bに対して贈与税の調査を行った結果,A名義の預金口座からの不明出金については,B名義の預金口座に入金されていることを把握した。
贈与税 :申告漏れ課税価格 約3,000万円
追徴税額(加算税込み)約1,200万円 重加算税有
上記のような事例以外にも多くの事例が国税庁より公表されています。相続税は、名義預金や保険金を受け取る権利などにもかかってきます。
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