相続手続きにまつわる基礎知識 – 相続・相続税のご相談なら相続ハウス http://souzokuhouse.com 相続ハウスでは、相続税・生前贈与や名義変更など《相続》に関するあらゆるご相談をお受けしております。 Fri, 06 Oct 2017 05:57:07 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=4.4.11 相続した土地などの不動産をスムーズに名義変更する方法 https://souzokuhouse.com/soudan-naiyou/tetsuduki/kiso-tetsuduki/souzokutouki-2/ https://souzokuhouse.com/soudan-naiyou/tetsuduki/kiso-tetsuduki/souzokutouki-2/#respond Wed, 04 Oct 2017 08:40:55 +0000 https://souzokuhouse.com/?p=3179 不動産を相続した場合に、名義変更をしたほうが良いのか、するとしたらどのように進めるのか、名義変更に期限はあるのか、必要な書類は何か、費用はどれくらいかかるのかなど気になっている方も多いのではないでしょうか。
今回は、不動産を相続した際の名義変更(不動産の相続登記)の手続き等について、詳しく解説していきたいと思います。

1.不動産の名義変更とは

相続した不動産の名義変更とは、亡くなられた方の名義から相続する方へ登記上の名義を変更すること(以下、「相続登記」といいます)を言います。
相続登記に、期限はありません。
ところが、期限が無いからといって、そのまま放置してしまうと、様々なトラブルが発生する可能性が高くなります。
その状況が、将来裁判沙汰に発展するというケースも少なくありません。
また、お亡くなりになられた方の名義のままですとその不動産の売却をすることもできません。借入れをする際の担保とすることもできません。
いざ、そのようなことが必要になってから相続登記をすればよいと考えていると、相続人が増えていたり、特定の相続人の考えが相続発生時と変わってくるなど状況が変わり、なかなか名義変更が進められないというお話もよく伺います。相続発生後は速やかに相続登記を行うことをお勧めしています。

2.必要書類

相続登記をするための主な必要書類は下記の通りとなります。

【取得場所】法務局(どこの法務局でも取得可能です)等

登記申請書の用紙は、法務局の窓口またはホームページから取得することができます。
司法書士に依頼される場合は、司法書士が作成等します。

【取得場所】被相続人の本籍地の市区役所・町村役場

相続人を確定するため、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等(以下、「連続戸籍」という)が必要となります。
転籍や婚姻などをされている場合、転籍前や婚姻前の本籍地所在地の市区町村で、除籍謄本や改正原戸籍を取得しなければなりません。
また、現在の戸籍謄本がコンピュータ化されている場合、コンピュータ化前の改正原戸籍も取得しなければなりません。
転籍を多く繰り返していると、相続手続きの際に必要な除籍謄本は多くなるために注意が必要です。

なお、法務局にて「法定相続情報一覧図の写し」(登記官の認証文言付きの書類原本)を取得されている場合は、この写しを提出すれば、連続戸籍の提出は原則として不要となります。

【取得場所】被相続人の最後の住所地の市区役所・町村役場

住民票の除票とは、死亡したときに死亡時の住所地で作成されるものです。
こちらも、法務局にて「法定相続情報一覧図の写し」(登記官の認証文言付きの書類原本)を取得されている場合は、この写しを提出すれば、住民票の除票の提出も原則として不要となります。

【取得場所】相続人それぞれの本籍地の市区役所・町村役場

相続人は、世帯全員分の現在戸籍を取得する必要があります。
被相続人の戸籍に含まれている場合は、別に取得する必要はありません。
また、相続人間で代表相続人が取得すると決めていた場合でも、別世帯であったり、兄弟姉妹の戸籍をとろうとすると、本人の委任状等がないと取得できないことも多いので、注意が必要です。

こちらも、法務局にて「法定相続情報一覧図の写し」(登記官の認証文言付きの書類原本)を取得されている場合は、この写しを提出すれば、相続人の戸籍の提出も原則として不要となります。

【取得場所】不動産を取得する相続人の住所地の市区役所・町村役場

不動産を取得される方の本籍や続柄等の全ての記載があるもの(省略事項のないもの)をご準備する必要があります。ただし、個人番号の記載がない住民票である必要があります。個人番号の記載がある住民票の写し等は添付しないように注意しましょう。

遺言書が有る場合は、遺言書。
遺言書が無い場合は、相続人全員が実印で押印してある遺産分割協議書が必要となります。遺産分割協議書には、相続人全員の印鑑証明書の添付が必要となります。
なお、遺言書が有る場合でも、遺産分割協議書が必要になる場合もありますので、詳しくはご相談ください。

【取得場所】法務局(通常は、どこの法務局でも取得可能です)

登記簿謄本(登記事項証明書)は、所有者やその親族ではなくても、誰でも請求することができます。
登記簿謄本(登記事項証明書)には、登記記録の全部を記載した全部事項証明書と、一部を記載した一部事項証明書、現在事項証明書などがありますが、取得の際には全部事項証明書が必要となります。
また、最近ではコンピュータ化された一部の法務局で他の管轄の登記簿も取得できるようになりました(登記情報交換システム)。例えば、東京法務局港出張所で札幌法務局や那覇地方法務局管内の登記簿を取得することができるようになりました。わざわざ遠くの法務局に行かなくても、お近くの法務局で他の管轄の登記簿謄本が取得できます。
ただし、全ての法務局でこのシステムを利用できませんので、事前に法務局に電話で確認しておくと安心です。また、正確な地番・家屋番号がわからないと利用できませんのでご注意下さい。
この点、住所しか分からない場合は、管轄の法務局に連絡をして、住所を伝えると地番の照会をしてくれます。この照会は、管轄の法務局でしかできませんので、ご注意ください。

【取得場所】不動産所在地の都税事務所(東京23区の場合)又は市区役所・町村役場

固定資産評価額は、毎年5月頃に送られてくる固定資産税の納税通知書に同封された、「課税証明書」に記載されています。
固定資産評価額は「課税明細書」を見れば原則分かりますが、相続や売買、贈与、財産分与等で不動産の名義を変える登記を申請する際は、「固定資産評価証明書」は添付書類として必ず必要になります。
なお、役所等によって、「土地課税台帳登録事項証明書(評価証明)」や「固定資産課税台帳記載事項証明書」等名前が異なる場合がありますので、各役所等にご確認ください。
不動産の登記に利用したいと伝えるとスムーズです。

3.手順

①2でご説明した必要書類を集めます
②司法書士に頼む場合は、委任状を作成します(委任状は、依頼する司法書士が作成します)。
③登記申請書に記載をします。
④①②③を、対象不動産を管轄する法務局に提出します。
⑤1週間から2週間で登記が完了しますので、完了しましたら「登記識別情報通知」を取得します。

④を郵送で行う場合は、返信用封筒を同封しておくと、登記完了後登記識別情報通知が送られてきます。

4.費用

登記にかかる費用のうち、必ずかかるのは、登録免許税です。
司法書士に依頼する場合は、登録免許税の他、司法書士報酬がかかります。
また、相続登記の場合は、贈与や売買によって不動産を取得した場合にかかる不動産取得税はかかりません。

相続登記の登録免許税は、土地も家屋も

【相続】不動産の価額×1,000分の4

となります。

(ご参考)
【売買】不動産の価額×1,000分の20
(土地については、平成31年3月31日までの間に登記を受ける場合1,000分の15)
(建物については、平成32年3月31日までは軽減税率を受けられる場合がありますので、詳細はお問い合わせください)

【贈与】不動産の価額×1,000分の20

相続ハウスの相続登記費用はこちらでご確認いただければと思います。
https://souzokuhouse.com/fee/

5.不動産を相続する際のポイント

今まで、相続した不動産の名義変更について、解説してまいりましたが、ここで、不動産を相続する際のポイントについてもご確認いただければと思います。

遺産分割協議は労力のかかる話し合いになるため、一旦みんなで共有にしておこうと考えている方は、とても多いのではないでしょうか。
そんな気軽な考えが、将来のトラブルを引き起こすことになるかもしれないということを是非ご認識しておいていただければと思います。
過去にご相談があった例をいくつかご紹介します。

① 兄弟で広い土地を共有で相続し、当時はお互い「半分ぐらいまでは建物を建てても良いけれど、それ以上は建てないようにしよう」と口約束をしていたにもかかわらず、数十年経って一方が半分以上の敷地に建物を建ててしまい、いざ、もう一方が土地の半分を売って将来の貯蓄にしたいと考えたときに、売れなくて困ったというケースがあります。

② 相続発生時に口頭で長男が土地を相続することになっていたが、登記をしていないまま約20年が経過した土地について、長男が売却を考えていたが、登記をしていなかったため、6人兄弟の相続人全員の承諾が必要になった。6人のうち、5人は売却に賛成であったが、1人が反対をしたために売却ができない状態が続いている。長男は、このまま兄弟の誰かに何かあった場合、共有名義人がもっと増えるため、自分たちの世代で終わらせたいと考えているが、1人の反対によって、協議がもう何年もまとまらないでいるというケースもあります。
不動産の共有名義は、数十年後の次の世代に代替わりする際にトラブルになることが少なくありません。そのため、相続発生直後にはトラブルケースへの発展に実感がないとも思いますが、すぐに売却するなどの事情が無い限り、できるだけ共有名義にしないことをお勧めします。

今のところは使う予定が無い不動産について、いつか活用するかもしれない等と保有し続けている不動産はありませんか。
ところが、いつか使うかもしれないと思って固定資産税のみを支払っているが、結局ずっと使っていないというケースもあります。
極端ではありますが、「いつか使うかもしれないは一生使わない」のではないでしょうか。さらに、売却しようと思った時期には、既に売れなくなってしまうとなれば、折角の財産が負の遺産になってしまいます。
相続発生時に、使う予定が思い当たらないような場合は、売却も視野に入れてご検討されることをお勧めいたします。

相続財産に対して、相続税がかかる場合には、誰が不動産を相続するかによって節税となる場合があります。
通称「小規模宅地等の特例」というのを聞いたことはありませんでしょうか。
こちらの特例適用要件に当てはまる場合には、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、土地の評価額を80%減額することができます(自宅等の場合)。
この適用要件のひとつに、配偶者や同居の親族が相続することというのがあり、別居の親族が相続する場合より税額を抑えることができる可能性があります。
誰が相続するのが節税対策になるのかということも考慮に入れながら遺産分割ができるとよりご家族にとって良いのではないでしょうか。

相続税には、配偶者の税額の軽減があります。
配偶者の税額の軽減とは、被相続人の配偶者が相続等した遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。
(1) 1億6千万円
(2) 配偶者の法定相続分相当額
この優遇規定を最大限利用すると、逆にそのとき相続等した配偶者の相続が発生した場合に、相続税が多額にかかってしまい、トータルで税額を見た場合に多くの税金を納付することになりかねません。
そこで、相続財産の多くを占める不動産等は、配偶者が居る場合でも、できる限り子供世代などに相続させておく方が却ってよいという場合もありますので、検討してみてください。

6.まとめ

今回は、不動産を相続した場合の名義変更について、名義変更をしたほうが良いのか、名義変更に期限はあるのか、必要な書類は何か、費用はどれくらいかかるのかなどについて、解説いたしました。
また、不動産を相続する際のポイントもまとめてみました。
不動産は、相続財産の多くを占める財産であるといっても過言ではありません。
しっかり誰が相続するのかを検討し、名義変更をスムーズに進めていただければと思います。

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その財産、誰が相続できるの?法定相続人と法定相続分をチェック https://souzokuhouse.com/soudan-naiyou/tetsuduki/kiso-tetsuduki/houteisouzoku/ https://souzokuhouse.com/soudan-naiyou/tetsuduki/kiso-tetsuduki/houteisouzoku/#respond Wed, 04 Oct 2017 08:07:03 +0000 https://souzokuhouse.com/?p=3175 相続や財産について考えるとき、最も気になるのは「誰がいくら財産を相続できるか」ということではないでしょうか。

民法では、相続ができる親族の範囲は「法定相続人」として定められています。
被相続人との関係によって法定相続人の順位も定められており、遺言による指示がない場合は、この範囲と順位にもとづいて財産が分割されることになります。

また、同じく法定相続分も定められておりますが、この法定相続分は遺産分割をする上で目安になると思います。

そこで今回は相続人の範囲について、相続人になれる人・なれない人、相続の優先順位や受け取れる財産の割合(法定相続分)などについて、詳しくお伝えします。
相続人の範囲について理解をするということは、相続を始める第一歩であるといっても過言ではありません。
大事な知識なので、しっかり押さえておきましょう。

1.法定相続人とは

相続財産を相続できる人(法定相続人)の範囲は、民法で定められています。
遺言書が遺されていれば、原則、その内容に従って財産を分割しますが、遺言書がない場合はこの法定相続人が財産を相続します。

2.法定相続人になれる範囲と相続分

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法定相続人は、上図のようになります。
基本的な考え方としては、相続順位が上の相続人から相続を行います。
自分より順位が上の相続人がいた場合は、相続することはできません。

下表は、法定相続分を示しています。
遺言書がある場合は、遺言内容で相続しますが、無い場合は、相続人全員の協議で分割方法を決めます。その際、法定相続分を目安にする方も多いです。
遺産分割で揉めた場合は、結果として法定相続分で決定するケースが一般的です。

相続人の構成 相続人 法定相続分
配偶者と子 配偶者 2分の1
子(第一順位) 2分の1
配偶者と直系尊属 配偶者 3分の2
直系尊属(第二順位) 3分の1
配偶者と兄弟姉妹 配偶者 4分の3
兄弟姉妹(第三順位) 4分の1

・配偶者
被相続人の配偶者(夫、妻)は、常に相続人になれます。婚姻関係が必要ですので、事実婚(内縁の妻など)の場合は、相続関係においては、配偶者とはなりません。
この点、婚姻が受理された翌日等に相手が亡くなってしまった場合でも、配偶者となります。

・子(直系卑属)
被相続人に直系卑属(子、または子が死亡している場合は孫)がいる場合はその子が相続人になります。
被相続人の配偶者がいる場合は、財産の1/2を子の数で等分したものが法定相続分となり、被相続人の配偶者がいない場合は全財産を子の数で等分したものが法定相続分となります。

・直系尊属
被相続人に直系卑属がいない場合、直系尊属(親、祖父母)が相続人になります。
被相続人の配偶者がいる場合は、財産の1/3を直系尊属の数で等分したものが法定相続分となり、被相続人の配偶者がいない場合は全財産を直系尊属の数で等分したものが法定相続分となります。

・兄弟姉妹
被相続人に直系卑属も直系尊属もいない場合、兄弟姉妹が相続人になります。
兄弟姉妹が死亡している場合はその子である甥、姪が相続人になります。
被相続人の配偶者がいる場合は、財産の1/4を兄弟姉妹の数で等分したものが法定相続分となり、
被相続人の配偶者がいない場合は全財産を兄弟姉妹の数で等分したものが法定相続分となります。

3.代襲相続人とは

法定相続人が、被相続人より前に亡くなっている場合には、その法定相続人の子どもなどが法定相続人となります。
これを代襲相続といいますが、兄弟姉妹およびその子供(甥、姪)も亡くなっていた場合、その孫には代襲することはできません。

4.その他法定相続人になれる人

2でご紹介した法定相続人の他にも、以下のような人が法定相続人になれます。

養子も相続人となります。
養子縁組には普通養子縁組と特別養子縁組があります。
普通養子縁組の場合は実親との関係は存続したまま養親の養子となりますので、実親の相続と養親の相続、どちらの場合も相続人となりますが、特別養子縁組の場合には、実親との親子関係は断ち切られることになりますので、養親の相続の時にのみ相続人になります。

胎児も法定相続人になります。
その胎児が、被相続人の相続発生後に無事に産まれた場合、胎児も相続人の1人としてカウントされます。そして相続財産の分割は胎児が生まれてから行う事になります。この場合、この産まれてきた子(乳児)はもちろん遺産分割協議はできませんので、親権者又は特別代理人が乳児の代理人となって、協議を進めることになります。

お腹の中にいた胎児が亡くなってしまった場合には、相続権を失うことになってしまいます。

非嫡出子も実子であるため相続人になります。ただし、非嫡出子が相続人になるは、父親に認知されていることが条件ですので注意が必要です。
以前は、非嫡出子は、嫡出子の半分の相続分となると規定されておりましたが、平成25年9月4日の判決により、非嫡出子も嫡出子と同じ相続分となりました。

被相続人が再婚している場合、離婚した前妻(または前夫)との間に子がいた場合には、その子は法定相続人になります。
仮に、再婚した後妻(後夫)との間にも子がいると、その子も相続人となりますし、どちらの子の相続分も同じ割合です。

被相続人に子(直系尊属)も親(直系卑属)もいない場合、兄弟姉妹が法定相続人になりますが、被相続人に異母父の兄弟姉妹がいた場合、その人も相続人になります。他の兄弟と相続分も同じ割合です。

5.法定相続人になれない人

以下のような人は相続人になれません。

2にもありますとおり、内縁の妻や夫は法定相続人にはなりません。
法定相続人になれる配偶者とは、亡くなった時点で法律上の婚姻関係にある=籍を入れている配偶者だけです。

内縁の妻や夫と同じく、前妻や前夫も亡くなったり、離婚した時点で法律上の婚姻関係にないため、相続人にはなりません。

被相続人の配偶者に前妻もしくは前夫との連れ子がいた場合、被相続人の相続が発生してもその連れ子は相続人になりません。
配偶者の連れ子に財産を遺してあげたい場合には、連れ子を養子にするか、または遺言書を遺す等をする必要があります。

被相続人に配偶者や子・また両親や兄弟姉妹もいない状態で相続が発生した場合、いとこが相続人になると考えられがちですが、残念ながらいとこに相続権は発生しません。
代襲相続についても、再代襲は2世代までと定められている為、仮に、その被相続人にいとこしか身寄りがいなかったとしても、相続人にはならないのです。
いとこに財産を残したい場合等も、遺言書などの対策が必要になります。

代襲相続と同じようなイメージで、相続人が相続放棄をすると下の世代が相続人になると考えられがちですが、残念ながら相続放棄をした相続人の直系卑属に相続権は発生しません。
相続放棄を行うと、最初からその人は相続人ではなかったとみなされるため、下の世代がいたとしても相続人にはならないのです。

相続廃除とは、被相続人から見て、その人に相続させたくないと思う様な非行があった場合に、被相続人の請求によって家庭裁判所が審判または調停によって相続権を剥奪する制度です。主に以下のような事由により行われます。
・被相続人に対して虐待を日常的に繰り返していた
・重大な侮辱を与えていた
・推定相続人に著しい非行があった 等
相続廃除されると、相続権は消滅し、財産を相続することはできません。

相続欠格とは、ある一定の事由により、相続人としての資格を剥奪されることをいいます。
一定の事由とは、主に以下のような行為を行った場合です。
・故意に被相続人及び先順位または同一順位の相続人を殺害する
・被相続人を脅迫し、遺言書を作成させる、または内容を変更させる
・遺言書の内容を偽造や破棄する 等
これらの行為が発覚した場合には、相続廃除と違い誰からの手続きがなくとも、当然に相続人の資格を失うことになります。
従って、相続権は消滅します。

6.身近な相続人に保障されている「遺留分」について

法律上では身近な人が最低限受け取れる財産の割合が保障されており、この割合を「遺留分」といいます。
この遺留分の割合も、法定相続分と同様に、相続のケースによって変わります。

相続人の組合せ 遺 留 分
(遺留分割合×法定相続分)
配偶者のみ 配偶者

1/2
配偶者と子 配偶者 1/2×1/2=1/4
1/2×1/2=1/4
子のみ

1/2
配偶者と母親 配偶者 1/2×2/3=1/3
母親 1/2×1/3=1/6
母親のみ 母親

1/3
配偶者と兄 配偶者 1/2
遺留分なし
兄弟姉妹のみ 遺留分なし

この権利が侵害された場合には、手続きを行うことによって侵害された分を取り戻すことができます。この手続きを「遺留分滅殺請求」といいます。

もしも遺言で「すべての財産を第三者に渡す」などの指示があった場合でも、遺留分で保障されている割合だけは受け取ることができるようになっています。

7.まとめ

遺産分割は、相続に関する悩みの中で最も大きいものの一つです。
相続人の範囲や順位について知っておくことで相続のトラブルを回避できる可能性も高くなります。
身近な人たちの間で余計な溝が生じないようにするためにも、相続人の範囲や順位について理解し、円滑な遺産分割を行えるようにしましょう。

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家を相続する上で知っておきたい5つの基礎知識 https://souzokuhouse.com/soudan-naiyou/tetsuduki/kiso-tetsuduki/ie-souzoku/ https://souzokuhouse.com/soudan-naiyou/tetsuduki/kiso-tetsuduki/ie-souzoku/#respond Wed, 04 Oct 2017 07:25:43 +0000 https://souzokuhouse.com/?p=3163 遺産相続の中でも、特に悩まれている方が多いのが、家の相続についてではないでしょうか。
現金のようにきっちり等分して分けることが非常に難しいために遺産分割で揉めやすい上、相続税を考える時にも「主な財産が家で預金等は少なく、相続税に不安がある」という悩みが出てきたり、不動産登記という名義変更の手続きを行わなければならなかったりと、考えなければならない事がたくさん出てきます。
そこで今回は、家の相続に関する手続きの一連の流れや、家の相続を考えるときに知っておくべきポイントについてご紹介致します。

1.家の相続に関する手続きの流れ

相続財産に土地・家屋等の不動産が含まれている場合の相続手続きは以下の流れで行われます。
なお、不動産登記と相続税申告の順序は前後することもあります。

(遺言書がない場合)

家を含めた全財産について遺産分割を行う

財産総額が基礎控除額を超えた場合は相続税申告を行う

不動産登記(相続登記)により名義変更を行う

不要な場合は売却等により処分する

この流れを把握した上で、各手続きを行う上でポイントとなる事項についてご説明致します。

2.相続財産に家がある場合の遺産分割の方法

相続財産の分割方法には以下の4つの方法があります。

【遺産分割の種類と比較】

現物分割 代償分割 換価分割 共有分割

個々の財産をそのまま相続人に分配する 一部の相続人に財産を与え、他の相続人に対し金銭を支払う債務を負わせる 財産を売却などして金銭に換えて各相続人に分配する 数人の相続人で持ち分を定めて分配する



わかりやすさ
財産現物を残せる
公平な遺産分割が可能
財産現物を残せる
公平な遺産分割が可能 公平な遺産分割が可能
財産の現物を残せる




相続分どおりに分配することが難しい 債務を負担する相続人に支払能力がないと不可能 売却の手間と費用がかかる
財産現物が残らない
譲渡益に対し所得税及び住民税がかかる
利用や処分の自由度が低い
共有者に次の相続が起こると権利関係が複雑化する

家を相続した人が、その家にそのまま住み続けたい場合は、換価分割以外の方法で遺産分割を行うことになりますが、共有分割にしてしまうと、後に不動産の売却や担保設定する際に名義人全員の同意が必要となり、そこで問題が発生しやすくなります。
その点、代償分割によって誰か1人が単独名義で不動産を相続し、差額分を他の相続人へ支払えば、共有名義の問題を回避しつつ、相続人全員が納得できる遺産分割ができます。

代償分割を利用して他の相続人にお金などを渡す場合は、必ず「代償金として△△に○○(代償の金額や名前)を支払う」という旨を遺言書や遺産分割協議書に含めましょう。
記載せずにそのまま渡してしまうとそれは単純な贈与とみなされ、贈与税が発生してしまいます。

代償分割を行って他の相続人に支払いを行う場合は、基本的に相続税や贈与税等の税金はかかりません。ただし、代償分をお金ではなく不動産等にした場合、渡す側も受け取る側も税金が発生する可能性があります。
代償分として不動産等を渡す場合、渡した側はその不動産を時価で譲ったことになります。
したがって、渡した財産の時価がその財産の取得価格を上回る場合には譲渡益が発生し、所得税(譲渡所得税)がかかります。
そして不動産を受取った側は、取得の際の税金(登録免許税・不動産取得税)がかかるのです。

3.相続税申告時に家の土地の評価額が抑えられる「小規模宅地等の特例」

相続財産の総額が一定額以上ある場合は相続税の申告が必要になります。
その一定額のことを「相続税の基礎控除額」といい、以下の式で求められます。

基礎控除額=3000万円+(法定相続人×600万円)

相続税の申告が必要な場合、相続が発生した日から10ヶ月以内に税務署へ相続税申告書の提出・相続税の納付をしなければなりません。

しかし、相続税申告が必要なケースの中でしばしば「家が財産の大部分を占めていて、金融資産が少なく納税資金が払えない」という事態が発生することがあります。
そのための救済措置として「小規模宅地等の特例」という制度があります。

小規模宅地等の特例とは、被相続人が所有していた自宅や事業に使われていた土地で一定の要件を満たすものに関しては、相続税の評価額を大幅に減額することができる制度です。
適用となる範囲や要件については以下の表の通りです。

区分 内容 対象者 上限面積 減額割合
被相続人等の居住用に供されていた宅地 特定居住用宅地 住んでいた家の宅地
(自宅の土地)
・配偶者
・生前から同居をしている親族
・生計を共にしている親族
・同居でない親族(家なき子)
330㎡ 80%減
被相続人等の事業用に供されていた宅地 特定事業用宅地 商店
(八百屋・花屋・たばこ屋等)
・事業を引き継ぐ親族
・生計を共にしており、相続後にその宅地で事業を行う親族
400㎡ 80%減
特定同族会社事業用宅地 事業に使っていた宅地
(会社・工場の土地等)
その会社の役員を務めている親族 400㎡ 80%減
貸付事業用宅地 人に賃貸していた宅地
(アパート・駐車場の土地等)
相続後もその宅地の貸付事業を引継ぎ、保有し続けている親族 200㎡ 50%減

例えば、被相続人と同居していた相続人が被相続人名義の土地を相続する場合には、特定居住用宅地の要件を満たせば、土地の相続税評価額を80%減額することができます。
相続税評価額が1億円の土地の場合、小規模宅地等の特例を適用すると相続税評価額が2,000万円となる為、大幅に評価額を下げることが可能です。

土地を相続する際は、小規模宅地等の特例適用の可否は相続税額に大きく影響します。

小規模宅地等の特例を適用した結果、相続税が発生しないことが判明したとしても、相続税の申告は必須です。
相続税の申告を行い「我が家は小規模宅地等の特例を受けて相続税が0円になりました」という意思表示を税務署に行うことによって特例適用が認められるわけです。
申告をせずにそのまま申告期限を迎えてしまい、後々、税務署から指摘を受けた場合には、小規模宅地等の特例を適用出来ずに相続財産を評価されることもありますので、十分にご注意ください。
相続税の申告が不要なケースとは、小規模宅地等の特例を適用しなかったとしても相続税申告の対象にならなかった場合のみです。

4.家の名義人を変更する「相続登記」

土地や建物などの不動産を相続した場合、取得した時点では名義はまだ被相続人のままです。
取得した不動産の名義を被相続人から相続人へ変更するには、不動産登記の手続きを行わなければなりません。この相続に伴う不動産登記を相続登記ともいいます。
不動産の名義変更は義務ではなく、また、手続きに期限もありません。
しかし、不動産の名義を変更しなければ、売却や、金融機関等で借入をする際の担保提供をすることができません。
また、次の相続が発生した場合にトラブルの原因となることもあります。
その為、不動産を相続したら名義変更手続きを忘れずに行うことをお勧めします。

名義人が亡くなった瞬間から名義を書き換えるまでは、事実上その不動産は相続人全員の共有状態になります。すると、その不動産を売却や担保設定しようと思っても、名義人全員の同意がなければできなくなります。
また、その不動産をどうしたいかで名義人同士で揉める可能性もあります。

名義を一人に集約せず共有状態のまま誰かが亡くなると、その所有権利はそのまま亡くなった人の相続人に相続されます。
登記をしていない期間が長ければ長いほど相続人は雪だるま式に増えていくので、名義をまとめることがますます困難になっていくのです。

5.相続した家を売る

相続した不動産を売却し、その売却額が取得費を上回る場合には、その利益に対して所得税(譲渡所得)がかかります。(その他売却に際して印紙税もかかります。)
この点、被相続人が住んでいた自宅で、相続が発生したことにより空き家となってしまった不動産を売却する際に、一定の要件を満たすと譲渡所得の金額から3,000万円まで控除することができる特例があります。
特例を受ける為には細かな適用要件がありますので、詳しくは相続ハウスにご相談下さい。

換価分割により遺産分割を行う場合、家を一旦単独名義で相続し、売却した代金を相続人間で分割する方法があります。ただしその場合、遺産分割協議書等で売却代金の分割方法等をあらかじめ定めておかなければ、単なる贈与とみなされ贈与税が課せられる可能性もありますので注意しましょう。

家を相続した後に、その家を使用も売却もせず空き家のまま放置しておくと、それだけで固定資産税がかかってしまいます。
そればかりか、「空き家対策特別措置法」により「特定空き家等」と認定されれば指導、勧告、撤去命令などの対象となり、所有者が撤去命令に従わない場合は所有者の費用負担により強制的に取り壊しとなる場合もありますので、今後使う予定のない空き家は早めに処分することをお勧めします。

6.まとめ

今回は、家を相続する上で知っておきたい基礎知識をご紹介しました。
不動産は価値が高いのに容易に分割ができない為、多くの方が悩まれ、争いの原因になることが多いのが実情です。
また、不動産の所有者になることで、新たに負担することになる税金や管理、自身の相続が発生した際の問題等、安易に相続すると後々大変なことになってしまう場合もあります。
土地・家屋等の不動産が相続財産にある場合は、今回ご紹介した内容等を踏まえ、ぜひ、ご相談下さい。

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夫婦のみ・単身世帯の相続はどうなる!?兄弟相続について https://souzokuhouse.com/soudan-naiyou/tetsuduki/kiso-tetsuduki/kyoudai-souzoku/ https://souzokuhouse.com/soudan-naiyou/tetsuduki/kiso-tetsuduki/kyoudai-souzoku/#respond Wed, 04 Oct 2017 04:06:06 +0000 https://souzokuhouse.com/?p=3156 相続は多くの場合、上の世代から下の世代に財産が流れていくものですが、被相続人に子や配偶者がいない場合はその限りではなく、被相続人の親や兄弟に財産がいくことがあります。
特に夫婦のみの世帯や単身世帯で相続が発生した場合は、一般的に兄弟が相続人となります。
兄弟間の相続について、またその際に知っておきたい事について、今回は詳しくご説明致します。

1.相続順位について

まずは兄弟が相続人となる状況について、相続人の決定方法を理解する必要があります。
下記の図をもとに、法定相続人と相続順位について確認しましょう。
遺言書等がない場合、原則としてこの相続順位に従って相続が行われることになります。

図1

●配偶者は常に相続人になる
配偶者は常に相続人となっており、財産は「配偶者と第1順位の法定相続人」「配偶者と第2順位の法定相続人」……といった形で分割されます。

●第1順位
被相続人に子供がいると、その子供が第1順位の法定相続人となります。
子供が亡くなっており、その子供にさらに子供か孫がいる場合には、代襲相続として法定相続分の権利はその子供から孫に移ります。
被相続人に子供や代襲相続に相当する人がいない場合は、第2順位の法定相続人が相続の対象になります。

●第2順位
第2順位の法定相続人は、被相続人の父母か祖父母などの直系尊属が該当します。
被相続人が普通養子縁組をしていた場合、養父母も法定相続人に含まれます。
父母が亡くなっており、祖父母がいるケースでは、祖父母が相続人になります。

●第3順位
第1順位と第2順位の相続人がそれぞれいない場合には、第3順位として被相続人の兄弟や姉妹が相続の対象になります。
もしも兄弟や姉妹が亡くなっており、その子供である甥や姪がいた場合には、こちらも代襲相続によって、その甥や姪が相続人になります。

以上のルールから、原則として、兄弟が相続人となるケースは以下の2パターンとなります
・被相続人に配偶者がいて、子・孫や親・祖父母がいない場合
・被相続人に配偶者も子・孫も親・祖父母もいない場合

2.兄弟相続の法定相続分

兄弟が相続人となる場合、相続財産はいくら取得できるのでしょうか?
兄弟の法定相続分は、配偶者の有無により変化します。

被相続人に配偶者がいる場合の法定相続分は、配偶者が3/4、兄弟が1/4となります。
兄弟が複数いる場合は、1/4の相続分をさらに人数で割った分が一人あたりの法定相続分となります。
例えば、被相続人が4人兄弟だった場合は以下の図のようになります。

図2

被相続人に配偶者がいない場合は、相続財産の全部を兄弟の数で等分したものが一人あたりの法定相続分となります。

図3

3.兄弟の子の代襲相続について

被相続人に子がおらず、親も亡くなっており、さらには兄弟姉妹も亡くなっている場合は誰が相続人になるのでしょうか?
法定相続人が被相続人より前に亡くなっている場合には、その法定相続人の子などが法定相続人となります。これを代襲相続といいます。
兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっていた場合は、その子、つまり被相続人の甥や姪が法定相続人になります。
ただし、兄弟姉妹およびその子供(甥、姪)も亡くなっていた場合、その孫には代襲することはできません。

4.遺留分について

遺留分とは、法定相続人に相続財産の最低限度の取り分を保障する制度です。
相続人に与えられている遺留分の割合は、民法により以下の通り定められています。

相続人 遺留分割合
配偶者 法定相続分の1/2
子供等 法定相続分の1/2
両親等 法定相続分の1/3
(配偶者がいる場合は1/2)
兄弟姉妹等 遺留分の権利なし

上の表の通り、遺留分が認められるのは、法定相続人のうち「直系血族」と「配偶者」のみです。
法定相続人であっても,「兄弟姉妹等」には遺留分は認められていません。
つまり、兄弟が法定相続人になるケースで、遺言書等により他の誰かに全財産が渡ることになった場合であっても、兄弟は遺留分がないため、一切の財産を取得することができません。

5.まとめ

近年の少子化や単身世帯の増加により、今後兄弟が相続人になるケースはより一層増えていくと考えられます。
全く関係がないと思っていた兄弟の財産を突然相続することになって慌てたり、またご自身の相続が発生した時にご自身の希望と異なる形で遺産分割がされたりということを避けるためにも、兄弟の相続についてしっかり理解し、対策を立てておきましょう。

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銀行預金の相続手続き徹底マニュアル https://souzokuhouse.com/soudan-naiyou/tetsuduki/kiso-tetsuduki/yokin-souzoku/ https://souzokuhouse.com/soudan-naiyou/tetsuduki/kiso-tetsuduki/yokin-souzoku/#respond Tue, 03 Oct 2017 08:13:40 +0000 https://souzokuhouse.com/?p=3149 銀行預金を相続した場合、どのような手続きが必要で、注意しなければならない点はなにかなど、気になることも多いのではないでしょうか。
今回は、銀行預金の相続について、解説していきたいと思います。

1.口座凍結

相続が発生すると、口座が凍結するということは、聞いたことがあるのではないでしょうか。
では、銀行等はどのようにして、この情報を入手するのでしょうか。
市区役所等に死亡届を出すと銀行等に伝わって、口座が凍結するのではないかなどと勘違いをされていらっしゃる方もいらっしゃいますが、一般的には、どなたかが亡くなったという事実は、相続人等から銀行等に知らせる他勝手に凍結するということはありません。
身に覚えが無いのに口座が凍結されていた場合に、よくお伺いするのは、別の相続人等が、銀行等に問い合わせていた等です。
但し、新聞等にあるお悔やみコーナーに載るような方は、その時点で、口座が凍結するということもあるようです。

2.相続手続きの手順とコツ

相続が発生したら、どのような手続きが必要になるのでしょうか。
まずは、銀行等に被相続人が亡くなった旨を連絡します。
銀行等に直接行っても良いのですが、事前に電話等で連絡して要件を伝えてから窓口に行く方がスムーズです。
窓口に行くと申請書類と必要書類を教えてもらえます。
それらをすべて集めて提出すると、概ね1週間から2週間ぐらいで手続きが完了します。

3.必要書類

必要書類については、銀行等毎に若干異なりますので、詳しくは各銀行等にお問い合わせいただければと思いますが、ほとんどの銀行等で求められる主な書類は、下記の通りとなります。

銀行等から申込書(依頼書)の用紙の記入を求められます。
こちらには、相続人全員の署名捺印を求められるのが一般的です。銀行等によっては、金額などによって、全員でなくても対応しているところもあります。

【取得場所】被相続人の本籍地の市区役所・町村役場

相続人を確定するため、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等(以下、「連続戸籍」という)が必要となります。
転籍や婚姻などをされている場合、転籍前や婚姻前の本籍地所在地の市区町村で、除籍謄本や改正原戸籍を取得しなければなりません。
また、現在の戸籍謄本がコンピュータ化されている場合、コンピュータ化前の改正原戸籍も取得しなければなりません。
転籍を多く繰り返していると、相続手続きの際に必要な除籍謄本等は多くなるため注意が必要です。

なお、法務局にて「法定相続情報一覧図の写し」(登記官の認証文言付きの書類原本)を取得されている場合は、この写しを提出すれば、連続戸籍の提出は原則として不要となります。

【取得場所】相続人それぞれの本籍地の市区役所・町村役場

相続人は、世帯全員分の現在戸籍を取得する必要があります。
被相続人の戸籍に含まれている場合は、追加で取得する必要はありません。
また、相続人間で代表相続人が取得すると決めていた場合でも、別世帯であったり、兄弟姉妹の戸籍をとろうとすると、一般的には本人の委任状等がないと取得できませんので、注意が必要です。

こちらも、法務局にて「法定相続情報一覧図の写し」(登記官の認証文言付きの書類原本)を取得されている場合は、この写しを提出すれば、相続人の戸籍の提出も原則として不要となります。

遺言書が有る場合は、遺言書の写しが必要となります。
遺言書が無い場合は、相続人全員が実印で押印してある遺産分割協議書が必要となります。遺産分割協議書には、相続人全員の印鑑証明書の添付が必要となります。
なお、遺言書が有る場合でも、遺産分割協議書が必要になる場合もありますので、詳しくはご相談ください。

被相続人が持っていた通帳等を一緒に提出します。キャッシュカードは、ご自身で処分をお願いしているところもありますが、詳細は、各銀行等にご確認ください。

4.相続手続きの期限

銀行預金の相続手続きは、期限などがありません。
法律上は、銀行預金の消滅時効期間は商事債権として5年、信用金庫・労働金庫・信用協同組合などは、商法の適用がなく10年となっておりますが、今まではほとんどの銀行等で、この期限後であっても相続人からの払戻し依頼に対応していたようです。

ところが、これからは、遺産分割協議がまとまり次第すぐに手続きをされることをお勧めいたします。
時間が経ってしまうと忘れてしまうということもあります。
それだけではなく、最近「休眠預金活用推進法」の施行が決まりました。
近年、この休眠(睡眠)口座の残高は、平均1,000億円前後となっているようで(参照:大和総研HPより)、これらの休眠(睡眠)口座を活用しようと、この法案が2018年1月に施行することが予定されているのです。

期限が無いからといって、安心せず、お手続きを済まされることをお勧めします。

5.銀行預金に関するよくあるご質問

まずは、家やかばんなどの中に銀行預金の通帳やキャッシュカードが無いかを隈なく探すと思うのですが、それでも見つからない場合は、口座がありそうな銀行等に問い合わせてみましょう。
例えば、被相続人との会話や行動を思い出しながら、現在の自宅周辺のほか、過去に住まわれていた場所等の周辺、職場の周辺にある銀行等が考えられます。同じ銀行で異なる支店や種類の口座は、原則として、すべて1箇所で確認してもらうことができます。
但し、お問い合わせには、名義人との関係(相続人であること等)を証明しなければなりませんので、被相続人(名義人)の連続戸籍や窓口に行かれる方の現在戸籍などを持参しておくとスムーズです。

この質問は、よくされるのですが、おろしておいたほうが良いケースと逆にトラブルになるケースがあると考えます。
本来であれば、相続が発生した時点で、口座は凍結され、遺産分割協議に応じて預金を分割することになります。
ところが、凍結前におろしておかないとその直後の生活費やご葬儀費用等が払えないということもあると思います。
ここで、特定の相続人が自由にお金を使えるということになると、他の相続人との間でトラブルになる可能性が、非常に高くなることが少なくありません。もし、凍結前におろした預金を利用する場合は、すべての領収書を残しておく、他の相続人にも共有しておくなどして、トラブルにならないように慎重に扱っていただくことをお勧めいたします。

自分は何も印鑑などを押したつもりが無いのにもかかわらず、預金の相続手続きが終わっているということがあります。
銀行等によっては、少ない金額でも、相続人全員の印鑑等を求める機関と、一定額までは、代表相続人だけの印鑑で手続きができる機関があります。
本来であれば、すべての財産について、相続人全員で遺産分割をしなければなりませんので、他の相続人に確認してみましょう。
他の相続人が、この話合いに応じない場合等は、弁護士などに相談するしかないかもしれません。

他の相続人と連絡が取れない、どこに居るか分からないということもあるかもしれません。
そのような場合は、どのように遺産分割をして、銀行預金等の手続きをすることができるのでしょうか。
まず、事前にできる対策としては、遺言書を遺しておくことです。有効な遺言書があれば、遺産分割協議書を提出しなくても、手続きができる場合があるためです。
対策をせずに、亡くなってしまった場合は、連絡が取れない相続人の居場所を探してみましょう。
戸籍や戸籍の附票を取得できれば、現在の住所地を特定できます。現在の住所地に手紙を送ったり、現地に行ってみたりして連絡を取れるか確認してみてください。

それでも分からない場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立ててください。選任された不在者財産管理人と遺産分割協議をすることになります。この場合、不在者財産管理人は、その相続人の財産を守るという義務がありますから、連絡が取れない相続人の遺産を無しにするという分割案は認められないと考えておいたほうが良いでしょう。

連絡が取れない相続人が生きているかどうかも分からないという場合は、家庭裁判所に失踪宣告を申し立てます。連絡が取れなくなってから、7年後に亡くなったものとみなしてもらうことができます(普通失踪)。この場合、行方不明者に子供がいればその子供が相続人となります(代襲相続)。

このような事態になると、ご自身で手続きするのは大変ということもあると思いますが、そのときは、一度ご相談ください。

6.注意しておきたいこと

被相続人の口座から、生活の費用、例えば公共料金等の引き落とし口座に指定していた場合は、銀行等に連絡して、口座が凍結されてしまうと引き落としができなくなってしまいますので、注意が必要です。そうなると同居していた相続人等は、困ってしまいますので、事前に引き落とし口座の変更をしておくことをお勧めします。

ネット銀行をお持ちの方は、通帳などがインターネットのみの場合など、見つけにくいということがあります。
その場合、銀行預金を見つけられなかったり、IDやパスワードが分からないと手続きができないということにもなりかねません。
ネット銀行をお持ちの方は、事前にご家族に伝えておいた方が良いでしょう。

相続税が発生する方は、銀行預金の相続手続きをする際、同時に残高証明書の取得も依頼しておくと良いでしょう。
相続税の課税対象となるのは、相続発生日(亡くなった時点)での残高です。通帳がある場合は、それで残高が分かるのではないかと思われる方も多いと思います。
この点、相続発生日以降の取引が無い場合等や定期預金等がある場合は、特定時点での残高が本当にその額であったかを確認することができなかったり、経過利息を把握することができなかったりします。
原則として残高証明書で残高を確認しますので、二度手間にならないよう、手続きと同時に取得しておくのが良いでしょう。
また、税理士から税務調査対策として、過去3年から5年程度の取引明細を求められるのが一般的です。通帳に記帳がある方は通帳で確認できますが、通帳が無い場合や長年記帳をしていない場合等は、過去の取引明細も依頼しておくと良いでしょう。

また、相続発生日後に支出したもので、相続発生前の費用については、相続財産から控除することができます。例えば、相続発生日前の公共料金等や固定資産税、住民税等が対象になります。領収書などもしっかりとっておいてください(原則として、取引明細(通帳等)だけでは、控除することはできません)。

7.まとめ

今回は、銀行預金の相続手続きについて、その手順、必要書類、注意点やコツをお伝えしました。
預金口座は、ほとんどの方の相続財産に含まれていると考えられます。
簡単なように思えて、意外と労力のかかる手続きです。ところが、相続人の中には、被相続人の預金等を頼りにしていることも多く、放っておくというわけにもいかないことがほとんどではないでしょうか。
生前、多くの預金口座をお持ちの方は、数箇所に集約するなど、一度整理して、相続人の手間を軽くしておくと良いかもしれません。
銀行等は、通常、平日しか窓口が空いていないところも多いですので、預金口座の相続手続きをする時間を取るのも難しいという方は、ご相談いただければと思います。

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相続スケジュール https://souzokuhouse.com/soudan-naiyou/tetsuduki/kiso-tetsuduki/souzoku-schedule/ https://souzokuhouse.com/soudan-naiyou/tetsuduki/kiso-tetsuduki/souzoku-schedule/#respond Fri, 15 Sep 2017 07:01:38 +0000 http://bodo.jp/souzokuhouse/?p=2876

相続が始まると色々やることが有ります。
たくさん有りすぎて、まずは何からどのように行っていけばいいのだろうと迷うこともあると思います。
そこで、相続税の申告が必要な方の一般的なスケジュールがどんなイメージになるかを見ていきましょう。

相続スケジュール(申告有り、一般的な)

※ご家族によっては、優先順位などが異なりますので、一般的な例であることをご了承ください。
※期限が明確に決められているものはオレンジの網掛けの部分です。
※期限が明確に決められているわけではないが、このくらいに行うのが一般的と考えられるものは黄色の網掛けの部分です。
※項目ごとに、大体この辺で行うのが一般的ではないかと思う時期に入れている項目も、期限があるものについては、赤字で記載しています。

期限があるものとないものが有り、特に相続税の申告が必要ない方は、このスケジュールとは、違ったイメージになるとは思います。
スケジュールは、ご家族ごとに本当に、優先順位が異なっていますので、実際にどんなスケジュールで行うかは、ご相談いただければと思います。

(1)7日以内に行う項目

火災埋葬許可申請及び死亡届の提出は、7日以内に死亡地、本籍地、住所地のいずれかの市区町村役場に行います。

(2)おおむね1週間前後に行う項目

お通夜や葬儀等を行います。このとき、相続放棄等をご検討の場合、被相続人の預金を引き出してしまうとできなくなる恐れが有りますので、注意してください。
また、相続税の申告をする場合などは、葬儀費用などが相続財産から控除できますので、領収書などしっかり保管をしておきましょう。

(3)14日以内に行う項目

主に市区町村や社会保険事務所などに手続きをする項目となります。
こちらは住所地の市区町村役場で手続する必要が有ります。その他、必要に応じて行う届出もあれば、一緒に行うと良いでしょう。

(4)おおむね1ヶ月以内に開始が望ましい項目

役場関係に対する届出や手続が一通り終わったら、早速始めたい手続が法定相続人の調査、遺言書の有無の確認、相続財産の調査などを開始することです。
法定相続人の調査といっても、相続手続き全般で必要となる被相続人の出生から死亡までの戸籍の収集は、(3)以前の項目と合わせてできるものもあるかもしれません。
遺言書の有無の確認は、まず、近くの公証役場に遺言書が無いかを確認しましょう。全国どこの公証役場で公正証書遺言を作成していても検索してくれます。また、公証役場ではなく直筆で遺言書(自筆証書遺言)を残している可能性がある場合には、有りそうな場所を探してみてください。通帳等が保管されている場所や仏壇、書斎などがある場合には、その辺にあることが多いようです。
財産の調査は、被相続人がまとめてくれていれば、良いのですが、何があるかわからないなどの場合には、自宅の近所、勤務先の近所などから調査してみましょう。特に個人的な借金などは見つけにくく、後から発見した場合には、とても困りますので、注意して調査してください。

(5)おおむね2ヶ月~3ヶ月以内に開始が望ましい項目

(4)の調査をはじめたころ、四十九日の法要の時期になります。今は、葬儀と一緒に行う方もいらっしゃいますが、この時期に行うご家族がやはり多いです。
法要が落ち着きましたら、早速調査した財産の評価を行いましょう。土地や株式(特に自社株式)の評価は、煩雑ですから、相続税が発生する場合や相続人間で揉め事になりそうな方は、専門家に行ってもらうことをお勧めします。

(6)3ヶ月以内に行う項目

相続放棄や、限定承認をお考えの方は、3ヶ月以内にこれらの手続を行う必要が有ります。
相続放棄は、それぞれの相続人が単独でできますが、限定承認は相続人全員で行う必要が有ります。
また、この期限を延ばしたい場合には、「相続の承認又は放棄の期間の伸長」ができますが、この申請は受理されなかった場合、再申請できませんので、専門家に依頼することをお勧めします。

(7)おおむね4ヶ月以内に開始が望ましい項目

相続財産の評価ができましたら、財産目録を作成しましょう。財産目録は、相続税の申告が必要な場合に役に立ちますが、申告が必要でない場合でも、遺産分割協議書などを作成する際の検討資料となります。また、将来揉め事になった場合に、相続発生時に存在した財産一覧は絶対にあった方が良いですから、リスク回避のためにも作成することが望ましいです。

(8)4ヶ月以内に行う項目

被相続人が亡くなった年の1月1日から亡くなった日までに一定の収入がある場合には、確定申告を行う必要が有ります。この最後の確定申告を「準確定申告」といいます。
これは、亡くなった日から4ヶ月以内に申告及び納付をする必要が有ります。

(9)おおむね5ヶ月以内~開始が望ましい項目

財産目録が作成できたら、どの財産を誰が相続するのかを相続人全員で協議しましょう(遺言書が無い場合等)。既に決まっている場合や、すぐに決まった場合には、その協議の結果を遺産分割協議書に記載し、各人が押印して、それぞれ保管するのが良いでしょう。この押印は、印鑑登録している印鑑が必要になりますので、印鑑登録をしていない方は、改めて印鑑登録する必要が有ります。海外に居住している方は印鑑証明などが有りませんので、サイン証明が必要になります。
遺産分割協議書ができましたら、不動産の登記や、その他名義書換などの手続をしていきましょう。遺産分割協議書がない場合でもできる手続も有りますが、これがあると、必要な書類が少なくて済む場合も有ります。
また、これらが落ち着いたら、給付金などが受けられるものがいくつか有りますので、そちらの手続もしましょう。給付を受けられる手続は期限が2年から5年と長いですが、一気にやってしまわないと忘れてしまう恐れも有りますから、できる時にやっておく方が良いでしょう。

(10)10ヶ月以内に行う項目

相続税の申告が必要な方は、10ヶ月以内に申告及び納付をする必要が有ります。土地などの売却をして納付するなどの場合は、手続を早めに行わないと間に合わない可能性も出てきてしまいます。また、必要な場合には、相続税延納申請や相続税物納申請などをしましょう。

(11)1年以内に行う項目

被相続人が遺言書を遺していた場合で、遺留分を侵害された相続人は、遺留分を侵した相手に対して遺留分減殺請求をすることができます。こちらは侵害を知った日から1年以内です。この1年は意外に早く、気が付いたら請求できる期限が過ぎてしまっていたという方も多いので、請求をお考えの方は、早めに行うことをお勧めします。尚、請求の方法は、口頭でもできますが、配達証明付きの内容証明等で行うのが一般的です。相続人間で話がまとまらない場合は、裁判所の調停または訴訟を利用することになります。
また、相続開始から10年がたつと、知らなかった方も請求できなくなります。

(12)申告から3年(3年10ヶ月)以内に行う項目

10ヶ月以内に相続財産の分割がまとまらなかった場合は、未分割申告をしますが、その後3年以内に分割の確定が前提となっております。これを過ぎると、配偶者控除や小規模宅地の特例などが適用できなくなってしまいますので、3年以内に更正の請求をする必要があります。

(参考)相続手続きリスト

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相続手続きリスト https://souzokuhouse.com/soudan-naiyou/tetsuduki/kiso-tetsuduki/souzokutetuduki-list/ https://souzokuhouse.com/soudan-naiyou/tetsuduki/kiso-tetsuduki/souzokutetuduki-list/#respond Fri, 15 Sep 2017 06:59:57 +0000 http://bodo.jp/souzokuhouse/?p=2873

家族が亡くなると、死亡後にはさまざまな手続きや届け出が必要になってきます。
その数や種類は多く、それらの手続きを残された家族の方々が行わなければなりません。
手続きによって、期限が決められているものもありますので注意しましょう。

相続手続きチェックリスト

(1)死亡に伴う一般的な届出・手続き

この手続きは、お亡くなりになられて、悲しいときであるにもかかわらず、悲しんでいる間もないほど早急な手続きが求められる項目になります。市区町村役場に届ける必要がある死亡届などです。ほぼ、全員が必要となる手続きと考えられます。

(2)被相続人が生前に現役で会社勤務していた場合の勤務先への手続き

お亡くなりになられた方が、会社勤務をしていた場合に必要な手続きです。
会社に死亡の知らせをすることで、会社が主体的に動いてくれます。

(3)給付を受ける類の手続き

この手続きをすると、補助金などが給付されるという手続きです。
この手続きを知らないため、行わない人も多いかもしれません。ご家族で受けられそうな給付があれば、是非手続きしてください。

(4)受け継ぐ類の手続き

この手続きも、期限があるものが有ります。また、支払いなどが生じる場合には、支払先から、ご家族に連絡があることで知ることもあるでしょう。
手続きをしないことで、後で大変な思いをすることも有りますので、該当するものは、きちんと手続きをしてください。

(5)止める類の手続き

この手続きをしないことで、無駄な支払いなどが生じることも有りますので、必要な事項を確認してください。
最近では、SNSのアカウントなどもあると思いますので、その後、残すのか何年後に削除するのか、すぐに削除するのか事前に家族と話ができていると良いですね。

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相続登記をしよう https://souzokuhouse.com/soudan-naiyou/tetsuduki/kiso-tetsuduki/souzokutouki/ https://souzokuhouse.com/soudan-naiyou/tetsuduki/kiso-tetsuduki/souzokutouki/#respond Fri, 15 Sep 2017 06:58:40 +0000 http://bodo.jp/souzokuhouse/?p=2871
(1)相続登記とは

相続が発生すると、被相続人(亡くなった方)の財産は、名義変更をするまでは、法定相続分で法定相続人が共有している状態になります。
共有名義とは、下記のような状態のことを言います。

◆複数の共有者が持ち合う状態のこと
◆1つの不動産のどこの部分を所有するというものではない
◆持分所有とは異なる

では、共有名義になぜなってしまうのか。

住宅を購入などした場合に税金面のメリットを享受しようと考え、敢えて共有にする場合もありますが、主には相続で共有名義になっています。不動産を相続した場合、名義書換えをする必要がありますが、この名義書換には期限がありません。そうすると、何もしなければ法定相続分での名義書換えが手続的に楽であることから、深く考えずに共有にしてしまっている場合があるのです。

(2)相続登記を共有名義で行った場合や、
相続登記をしないことで起こってしまうこと

対象不動産を売却しようと考えた場合やその不動産を担保にローンを組みたい場合などは、共有名義人全員の同意(遺産分割協議)が必要で、それには実印とその印鑑証明も添付する必要があります。協議する相続人と人間関係ができていない場合、また多数に及ぶ場合、この手続きが大変になり、時間も労力もかかります。

売りたい相続人と売りたくない相続人がいる場合、その協議がまとまらず、専門家を介さないと手続に進めないということになってしまうこともあります。

<意見をまとめないとできない例>
・家屋の取り壊し
・大規模改造
・建替え
・利用形態の変更
・家屋の建築
・ローンの担保

②のようなことをする場合、共有名義人全員の同意がないと、手続きが進められないため、専門家を介さないと手続に進めないということになってしまいます。

(3)相続登記の必要書類
1、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等
内容 相続税申告書の添付書類として、又相続財産の名義変更の際に必ず必要となります。
転籍や婚姻などをされている場合、転籍前や婚姻前の本籍地所在地の市区町村で、除籍謄本や改正原戸籍を取得しなければなりません。また、現在の戸籍謄本がコンピュータ化されている場合、コンピュータ化前の改正原戸籍も取得しなければなりません。
※転籍を多く繰り返していると、相続手続きの際に必要な除籍謄本は多くなるために注意が必要です。
取得場所 市区役所・町村役場
被相続人の本籍地で申請する必要があります。
備考 当店で取得することも可能です。
2、被相続人の住民票の除票
内容 住民票の除票とは、死亡したときに死亡時の住所地で作成されるものです。
取得場所 市区役所・町村役場
備考 当店で取得することも可能です。
1、全員の戸籍謄本
内容 世帯全員分取得してください。(現在戸籍のみでかまいません。)
取得場所 市区役所・町村役場
備考 当店で取得することも可能です。※6ヵ月以内のもの
2、不動産を取得する者の住民票
内容 不動産を取得される方の本籍や続柄のすべての記載があるもの(省略事項のないもの)をご準備ください。
取得場所 市区役所・町村役場
備考 当店で取得することも可能です。※6ヵ月以内のもの
3、遺産分割協議書
内容 相続人全員が実印で押印してあるものが必要です。
取得場所
備考 当店で取得することも可能です。
4、全員の印鑑証明書
内容 遺産分割協議書への添付書類です。
取得場所 市区役所・町村役場
備考 ※6ヵ月以内のもの
5、全員のご実印
内容
取得場所 お手元にあるものをご用意ください。
備考
6、対象不動産の登記簿謄本(全部事項証明書)
内容 所有者やその親族ではなくても、誰でも登記事項証明書の交付を請求することができます。登記事項証明書には、登記記録の全部を記載した全部事項証明書と、一部を記載した一部事項証明書、現在事項証明書などがありますが、取得の際には全部事項証明書をご請求するようお願い致します。
取得場所 法務局
備考 当店で取得することも可能です。※6ヵ月以内のもの
また、最近ではコンピュータ化された一部の法務局で他の管轄の登記簿も取得できるようになりました。(登記情報交換システム*
7、対象不動産の固定資産評価証明書
内容 固定資産評価額は、毎年5月頃に送られてくる固定資産税の納税通知書に同封された、「課税証明書」に記載されています。固定資産評価額は「課税明細書」を見れば分かりますが、相続や売買、贈与、財産分与まで不動産の名義を変える登記を申請する際は、「固定資産評価照明」は添付書類として必ず必要になります。
取得場所 都税事務所又は市区役所・町村役場
備考 当店で取得することも可能です。※6ヵ月以内のもの
8、登記申請委任状
内容 第三者に登記申請を依頼する場合に必要な書類で、司法書士等に依頼する場合に必要になります。
取得場所
備考 当店にて作成致します。

*登記情報交換システム…例えば、東京法務局港出張所で札幌法務局や那覇地方法務局管内の登記簿を取得することができるようになりました。わざわざ遠くの法務局に行かなくても、お近くの法務局で他の管轄の登記簿謄本が取得できます。ただし、全ての法務局でこのシステムを利用できませんので、事前に法務局に電話で確認しましょう。
また、正確な地番・家屋番号がわからないと利用できませんのでご注意ください。

(4)相続登記をしよう

相続登記をするためには、次のような手順で実施することになります。
ご自分で実施することもできますが、やったことのない方が相続登記を自分で行うためには相当な時間と労力が必要になると思われます。
また、何度も法務局に足を運ぶ必要も生じる可能性がありますので、相続登記は専門家に依頼することをお勧め致します。

まずは相続登記をする対象となる不動産を特定するところからスタートします。
相続人がその情報をよく把握していれば特に苦労はないと思いますが、把握していなかった場合には被相続人の自宅にある固定資産税の納税通知や権利証などから、保有不動産をまず特定する必要があります。

保有する不動産を特定できたら、その不動産の登記簿謄本を法務局で取得します。
不動産登記はこの登記簿の情報を変更する手続きになりますが、現在どのような登記情報になっているかも把握する必要があります。
登記簿謄本を取得することによって、対象となる不動産の所有者の情報やその他権利関係を把握することができます。

不動産の情報が把握できたら、次にその不動産をどう分割するか(相続人間でどう分けるか)を決める必要があります。
遺言書がなければ遺産分割協議を行い、不動産を含めた相続財産の分け方を決定します。決定したら遺産分割協議書という形でその分け方を書面に記載し、相続人全員が実印を押します。
遺産分割協議が確定すれば、不動産の登記をどのように変更するか決まります。

相続登記に必要な書類を収集します。
戸籍謄本や印鑑証明書のほか、遺産分割協議書も必要な書類の1つです。

必要書類がそろったら登録免許税を支払い、必要書類を提出し、登記の申請を行います。
これが完了すればあとは待つだけということになります。

登記が完了したら登記簿謄本を取得し、相続登記が遺産分割協議どおり変更されているかどうかを確認します。
また、新しい権利証も交付されますので大切に保管をします。
これで相続登記は完了となります。

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