相続のよくある質問

質問相続税の申告をする際に必要な書類は何ですか

相続が発生しました。
相続税が発生することは確実なのですが、申告をするのに必要な書類はどういうものでしょうか。

答え財産の種類や特例適用の有無にもよりますが、主に必要となる資料は以下の通りです

相続財産が、基礎控除額(3,000万円+法定相続人の数×600万円)を超えてくると相続税の申告が必要になります。
配偶者の税額軽減制度や小規模宅地等の特例を利用して、相続税額が0である場合も申告事態は必要になりますので、ご注意ください。
当店で相続税の申告をご依頼いただいた場合に必要となる主な書類をご紹介いたします。

(1)基本の書類
① 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

【取得場所】
市区役所・町村役場
被相続人の本籍地で申請する必要があります。

【内容】
相続税申告書の添付書類として、又相続財産の名義変更の際に必ず必要となります。

転籍や婚姻などをされている場合、転籍前や婚姻前の本籍地所在地の市区町村で、除籍謄本や改正原戸籍を取得しなければなりません。
また、現在の戸籍謄本がコンピュータ化されている場合、コンピュータ化前の改正原戸籍も取得しなければなりません。
※転籍を多く繰り返していると、相続手続きの際に必要な除籍謄本は多くなるために注意が必要です。

【取得方法のコツ】
まずは、最後の戸籍がある市区町村役場で、「相続の手続きに必要な書類を集めています」と伝えて、その場所にある戸籍をすべて取得します。
その際に、一番古い戸籍を確認していただき、「○○年○月○日 △△(地域)より転籍」という記載がある場合は、その△△でまた戸籍を取得します(例:「1995年5月1日 世田谷区南烏山より転籍」と記載がある場合は世田谷区役所で取得します)。
これを何度も繰り返し、最終的に出生時の本籍がある戸籍謄本まで遡ります。
戸籍の見方がよくわからない、取得方法が難しいという方は、市区町村役場の人に聞けば教えてくれますのでその場で聞いてみましょう。
また、郵送で取得する際には、取得手数料として、小為替を購入して依頼の際、同封して送付することになりますが、小為替には1枚100円の手数料がかかります。
送付方法には経験とコツがありますので、費用と手間を考えると司法書士などの専門家に取得を依頼したほうが、安く抑えることができる場合もありますので、ご検討いただければと思います。

② 被相続人の住民票の除票

【取得場所】
市区役所・町村役場

【内容】
住民票の除票とは、死亡したときに死亡時の住所地で作成されるものです。

③ 相続人全員の戸籍謄本

【取得場所】
市区役所・町村役場

【内容】
世帯全員分(現在戸籍のみで構いません)取得して下さい。

④ 相続人全員の住民票

【取得場所】
市区役所・町村役場

【内容】
本籍や続柄等の全ての記載があるもの(省略事項のないもの)を世帯者全員分ご準備下さい。

⑤ 相続人の戸籍の附票

【取得場所】
市区役所・町村役場

【内容】
戸籍の附票とは、住所の移り変わりを確かめることができる書類です。
戸籍謄本には、住所の記載が無いため、住所不明の相続人がいる場合は、戸籍の附票を取得します。
亡くなった時と相続税の申告をする時で相続人の住所が違う場合等は、こちらが必要になります。

【取得方法のコツ】
戸籍謄本を取得するときに一緒に取得することができます。

⑥ 全員の印鑑証明書

【取得場所】
市区役所・町村役場
印鑑証明書は、原則として委任状があっても代理取得ができません。

【内容】
遺産分割協議書への添付書類です。

⑦ 遺言書又は遺産分割協議書

【取得場所】
遺言書は、公正証書遺言の場合、公証役場に問い合わせることで、用意されているかどうかを確認し、謄本(写し)を入手することもできます。
遺産分割協議書は、相続人で協議し作成します。専門家に依頼して作成してもらうこともできます。
遺言書がある場合でも、その内容によっては、遺産分割協議書を求められることもあります。

【内容】
遺産分割協議書は、相続人全員が実印で押印してあるものが必要です。

⑧ 相続関係説明図

【取得場所】
相続関係説明図は、相続人が作成します。専門家に依頼して作成してもらうこともできます。

【内容】
戸籍謄本を元に被相続人と相続人の関係を表現した家計図のようなものです。
これを添付することで、提出した戸籍謄本の原本還付してもらえます。他の手続きにも利用するなど、原本を返して欲しい場合は、こちらを用意することをお勧めします。

(2)現預金がある場合
⑨ 手許現金メモ
⑩ 預金残高証明書

【取得場所】
各金融機関

【内容】
被相続人の口座がある金融機関の支店が発行する残高証明書です。お亡くなりになられた日(相続発生日)の残高が分かるものをご請求ください。
定期預金がある場合は、経過利息も記載されているものをご用意ください。こちらに記載が無い場合には、別途、経過利息計算書を取得いただく必要があります。

⑪ 通帳

【取得場所】
お手元にない場合は、各金融機関で、取引明細書を取得できます

【内容】
過去に相続人への預金の移動があるか否かを確認するために必要になります。場合によっては、被相続人名義以外の通帳を依頼する場合(名義預金)もありますので、ご了承ください。
原則として、過去5年分をご用意ください。

(3)相続財産に土地や建物がある場合
⑫ 登記簿謄本(全部事項証明書)

【取得場所】
法務局

【内容】
登記簿謄本とは、不動産の構造や面積、所有者などが書かれた書類です。
古い謄本は、「登記簿謄本」と言われていましたが、最近では、書類がコンピュータ化され、「登記事項証明書」と言われています。
所有者やその親族でなくても、誰でも交付を請求することができます。
登記事項証明書には、登記記録の全部を記載した全部事項証明書と、一部を記載した一部事項証明書、現在事項証明書などがありますが、取得の際には全部事項証明書を請求します。

⑬ 対象不動産の固定資産評価証明書

【取得場所】
東京23区:都税事務所
その他の地域:市区役所・町村役場

【内容】
固定資産評価証明書とは、不動産の固定資産評価額が記載された書類です。
年度ごとに、毎年4月1日に新しいものに変わります。
相続登記の際は、亡くなった年度のものではなく、提出する年度のものを利用します。

【取得方法のコツ】
自治体によって、名称が異なる場合があります。「固定資産課税台帳登録証明書」、「課税台帳記載事項証明書」などがありますが、相続手続きで使いますと伝えるとスムーズです。

⑭ 名寄帳(固定資産課税台帳)

【取得場所】
市区役所・町村役場

【内容】
名寄帳とは、ある人が持っている不動産の一覧表です。
名寄帳には、不動産の所在地、地目、面積、固定資産税評価額などが記載されています。
名寄帳を見ることにより、同じ市区町村で所有されている不動産を網羅的に把握することができます。

⑮ 公図や地積測量図(土地の場合)

【取得場所】
法務局

【内容】
公図とは、登記所に備え付けられた、土地の大まかな位置や形状を知るための参考資料です。
地積測量図とは、土地の登記簿に付随して備えられている図面で、その土地の形状、地積(面積)などが記されたものです。

【取得方法のコツ】
登記簿謄本(全部事項証明書)を取得するときに同時に取得するとスムーズです。手元にない場合は、税理士が取得しますので、わざわざ取得いただかなくても大丈夫です。

(4)上場株式や投資信託等がある場合
⑯証券会社当の預り証明書又は登録証明書(残高証明書)

【取得場所】
各金融機関

【内容】
被相続人の口座がある金融機関の支店が発行する残高証明書です。お亡くなりになられた日(相続発生日)の残高(評価額)が分かるものをご用意ください。
上場株式のほか、投資信託、公債、社債、外貨預金やその他のファンドなどの金融商品に関するものです。
また、端株などをお持ちの方は、株式等の発行会社又は名簿管理人にお問合せの上、証明書を取得してください。

⑰ 配当金の支払通知書

【取得場所】
各金融機関

【内容】
相続開始後に受取る配当のうち、相続開始前に権利をお持ちのものを確認するために必要となります。

(5)生命保険がある場合
⑱ 生命保険の支払通知書

【取得場所】
各生命保険会社

【内容】
ご契約の生命保険会社に保険受け取りの請求ををし、入金があると、支払通知書がお手元に届きます。
そちらをご用意ください。

⑲ 保険証券等

【取得場所】
お手元あるもの

【内容】
保険契約をされた際に発行される保険証券をご用意ください。
相続手続きをすると返却しなければならない書類ですので、できましたら、コピーをとっておくことをお勧めします。
保険契約の内容を把握するために必要となります。

⑳ 解約返戻金の分かる資料

【取得場所】
各保険会社

【内容】
被相続人が契約者であり被保険者が被相続人でない保険につきましては、相続発生時点での解約返戻金が分かる資料を保険会社にご請求ください。

(6)債務・葬式費用がある場合
① 借入金残高証明書又は金銭消費貸借契約書及び返済予定表等

【取得場所】
お手元にあるもの(お手元にない場合は各金融機関などの債権者にお問合せください)

【内容】
銀行などの金融機関から借入金がある場合は、各金融機関、それ以外からの借入金がある場合は、対象の債権者から取得してください。

② 未納租税公課等

【取得場所】
東京23区:都税事務所
その他の地域:市区役所・町村役場

【内容】
住民税、固定資産税、事業税、国民年金、国民健康保険料、介護保険料などの納税通知書をご用意ください

③ その他の未払費用

【取得場所】
債権者

【内容】
最後の入院費や医療費、公共料金等の請求書や領収書などをご用意ください。
相続発生前の費用のうち、相続発生後に支払をしたものについては、被相続人の債務として控除することができます。

④ 葬式費用

【取得場所】
葬儀社、お寺(お坊さん)等

【内容】
葬儀関係費用(葬儀代、食事代、お布施、心づけなど)の領収書をご用意ください。領収書が無い場合は、メモなどでも構いません。

 

今回は、主な財産にかかる主な必要書類をご案内しました。
これだけあると、書類を集めるだけでも、大変です。ご要望に応じて、当店でも資料収集のお手伝いさせていただけます。
また、これら以外にも相続財産はあると思いますので、詳しくは、お気軽にお問合せください。