相続のよくある質問

質問遺留分って何ですか?

私の父が、先日、亡くなり、父の遺言書に、自宅と少しの預金は母に、それ以外は、全額ある方に遺贈するという内容が記載されていました。
付言事項には、母は私たちが扶養することができるけれど、その方には身寄りも頼るところも無いため、できる限り渡したいというような内容のことが記載されていました。
その方も、80歳を超えており、父の気持ちは分かるのですが、なんだか、腑に落ちません。
そこで色々調べていて、遺留分という権利があるようなのですが、どういうものなのでしょうか。

【父の財産】合計1億円
・自宅・・・・・・5,000万円
・投資不動産・・・2,000万円
・金融資産・・・・3,000万円(うち、1,000万円を母に、残りをその方にとの遺言)

答え遺留分とは、相続財産の一部を取り戻すことができる権利です

遺留分とは、遺言によって法定相続分を侵害された法定相続人が、法定相続分の一定額を取り戻すことができる権利のことをいいます。

この制度は、法定相続人が本来相続できるはずだった遺族の今後の生活が困窮してしまうことを避けるためのものです。

具体的には、直系血族(親、子など)にのみ与えられている権利で、相続人が直系尊属(親)だけの場合には相続財産の3分の1、それ以外の場合には相続財産の2分の1とされています。

ですから、ご相談者様が一人っ子である場合、遺留分は相続財産の1/4である2,500万円です。
この金額までを遺留分を侵害している人(その方とお母様)に請求することができます。

具体的には、その方に請求できる金額は、このうちの8/15です。金額にすると、約1,333万円ということになります。

(1)法定相続分と遺留分

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(2)減殺の対象

遺留分を請求することを、遺留分減殺請求といいます。
請求することができる減殺の対象は、遺留分を侵害している部分の比率が限度となります。

本件ですと

① お母様の減殺対象は3,500万円になります。
減殺対象 = 遺言の額(6,000万円)- 遺留分(2,500万円)

② その方の減殺対象は4,000万円になります。

子供が請求する額のうち、7/15(3,500万円/7,500万円)をお母様に8/15(4,000万円/7,500万円)をその方に請求することができます。

お母様への請求可能額・・・・約1,167万円
その方への請求可能額・・・・約1,333万円

 

 

遺留分を請求する場合は、遺留分を侵害している人にその旨を伝え、それでも対応しない場合は、弁護士等に相談することになります。