相続のよくある質問

質問生前贈与をする上での注意点を教えてください

私も65歳を迎え、そろそろ相続を考えるようになりました。
そこで、生前贈与をしていこうと考えているのですが、なにか、注意しておくべき点などありますか。

答え早めに 計画的に 行いましょう

生前贈与とは、亡くなる前に予め財産を誰かにあげることを言います。
相続人はその人が亡くなった時点での財産総額に対して課税されるので、その前に財産を
少なくしておけば将来の相続税も少なくなるという対策です。
うまく活用するとかなりの節税効果がありますが、注意点も多く存在します。

今回は、どんな注意点があるのか、事例を参考に、対策のポイントをお伝えします。

(注意点1) 相続開始前3年以内の贈与は相続税の課税対象となる

贈与者が亡くなった場合、相続の開始前3年以内に受けた贈与財産については、贈与税ではなく「相続税」の課税対象となります。例えば、暦年贈与の基礎控除枠(110万円まで)を使って毎年贈与していても、生前3年以内に贈与したものについては基礎控除の対象にはならず、相続税の対象となります。

【事例】

事例1

【対策】

被相続人から、子へ贈与するのではなく、子の配偶者やその子(被相続人から見た孫)への
暦年贈与は相続発生前3年以内のものでも相続税の課税対象にはなりません。※1
孫への贈与は、相続税も一代回避できるという点でも有効です。
誰にどのくらい贈与するのが、家族全体にとって適切なのかを考えて対策しましょう。
※1 ただし、孫が代襲相続人である場合や孫や子の配偶者が遺贈で財産を取得する場合は、生前贈与加算されます。

(注意点2) 暦年課税と相続時精算課税制度は併用できない

「暦年贈与」と「相続時精算課税制度」は併用することができません。
例えば父親から相続時精算課税制度で贈与してもらう方法を選択したら、その後暦年贈与に切り替えることはできません。

【事例】

事例2

【対策】

将来、確実に財産価値が上がる物を相続時精算課税制度を使って贈与すると、節税できることになります。ですが、他の財産がどの程度あるのかを把握していないと効果的な節税対策にはなりません。
まずは“相続全体の把握”が必要です。相続財産は何? 推定相続人は誰? 相続税はかかる?等・・・一度、相続全体の把握をし、よく考えてから実行しましょう。

(注意点3) 兄弟で贈与額が違うとモメやすい

生前で贈与した財産は、法律上相続時の財産には加味されません。
兄弟姉妹のうち、誰かが多くなるように贈与すると、後の相続発生時、遺産分割方法でモメる可能性があります。

【事例】

事例3

【対策】

モメない対策として、大きい生前贈与を加味した遺言を用意することは効果的です。
また、相続財産ではない生命保険の受取人を、生前贈与を受けていない兄弟にする等の対策も有効です。