相続のよくある質問

質問遺言書はまだ早いとは思うけれど、書いた方が良いとは思うんです

私は、子供がおりません。
夫婦で、それぞれ好きなことをやってきたため、夫の収入がどれくらいかもわからないですが結構あると思います。
私の方はといえば、それなりの財産があります。

両親はまだ元気なのですが、実は私、兄弟が多いんです。
もし自分に突然何かあった場合、夫と私の家族で話し合いをすることになると思うのですが、夫は、私の家族とあまり付き合いがありません。

ですから、遺言書は必要だとは思うのですが、まだ、50代なので、用意するには少し早いと思うのです。
もう用意しておいたほうがよいのでしょうか。

答え遺言書の準備は遅すぎることはあっても早すぎることはありません

子供がいない方の相続がとても煩雑なことをご存知ですね。
まだ、親御さんもお元気なうちに自分が遺言書についてお考えになるのは、すばらしいことだと思います。

おっしゃるとおり、お子様がいない方の相続の場合、親御さんが他界されると、配偶者様はご兄弟と遺産分割などの話し合いをしなくてはならず、家族の関係によっては、揉めがち、かつ、手続きも煩雑になります。

ですので、遺言書の用意は可能であればしておいた方が、遺された方にとっては、とてもありがたいことだと思います。

特に兄弟相続には、遺留分がありませんから、遺言書を遺しておくことで、そのとおりの遺産分割が実行される可能性が極めて高いです。

おっしゃるとおり、まだお若いので、早いのではとお思いになるかもしれませんが、是非、すぐに作成されることをお勧めいたします。

そもそも、遺言書を用意するのに、早い遅いと言うのは、ないと思うのです。

遺言書を用意する目的は、自分に何かあった時のための準備ではありますが、「自分が苦労して蓄えた財産を家族等に適切に配分するため」であったり、「将来家族等が自分の財産のことで、揉めないようにするため」です。突然何かがあっても、家族が困らないように用意するものだからです。

さらにこの準備は、元気なうちでないとできないことですので、遅すぎることはあっても、早すぎることは無いのです。

しかしながら、主な記載の内容が、「自己財産の配分・処分について」ですので、自己財産が定まっていないと言うこともあるかと思います。

このように、若くして用意をすると、もしかしたら、財産の状況が変わったり、相続人が変わったりして、何度も書き直しなどが必要になることもあるかもしれません。
それでも、まだ若いから死ぬのは先というのは、遺言書を準備しない理由にはならないと思います。

では、なぜ、「まだ早いかしら?」と思う方がこんなに多いのでしょうか。
それは、「遺書(いしょ)」と混同しているからではないでしょうか。

遺書とは、「死ぬこと」・「亡くなる」ことを前提に自分の気持ちを家族や関係者に手紙に託すことを言います。
主な記載の内容も、基本的には自由ですが、「身の潔白、自己保身、加害者への非難、恨み、死を覚悟してでも伝えたい熱い想い、家族へ想いなど」が多いですよね。
死を前提に書くものですから、作成のタイミングも「もうすぐ死を迎えると思ったとき」になります。

遺言書 遺書
目的 「家族のため」
自分が苦労して蓄えた財産を家族や家族以外の人に配分するため
将来家族が自分の財産のことで、揉めないようにするため
「自分のため」
「死ぬこと」・「亡くなる」ことを前提に自分の気持ちを家族や関係者に手紙に託すこと
主な内容 自己財産の配分・処分について 身の潔白
自己保身
加害者への非難、恨み
死を覚悟してでも伝えたい熱い想い
家族へ想い  など
法的効力
作成のタイミング いつでも良い(元気なうち) もうすぐ死を迎えるというとき

この違いを、きちんと把握していれば、遺言書を用意するのに「まだ早い」と言うことは、用意しない理由にはならないのではないでしょうか。

ご家族などのために、本当に、今準備しなくて良いのかをもう一度考えてみてください。