相続のよくある質問

質問成年後見制度の後見人ってどういうもの?

成年後見制度を利用してみようと思うのですが、誰が後見人になるんですか?また、後見人はどんなことをするのでしょうか。

答え後見人は本人を保護するためのことをします

成年後見制度とは、認知症や精神障害などによって判断能力が不十分な方々が不利益を受けないために、家庭裁判所に申請してその方々を保護または支援してくれる人(成年後見人)を付ける制度です。

成年後見制度には2つの種類があります。「法定後見制度」と「任意後見制度」です。

法定後見制度は判断能力が実際に衰えてから行うことができ、任意後見制度は判断能力が衰える前から行うことができます。成年後見制度とはこの2つの総称です。

さらに法定後見制度は、判断能力の程度によって「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれています。

どういう人が後見人になるか

法律上、下記以外の人は成年後見人になることができるとされています。

・未成年者
・家庭裁判所に解任された法定代理人
・破産者
・被後見人に対し訴訟をし、またはした者およびその配偶者並びに直系血族
・行方不明者

申請の際、後見人の候補を指定することもできます。ただし、家庭裁判所が、指定した後見人候補が本人のためにならないと判断した場合は認められない場合もあります。例えば、本人と後見人に利害関係がある場合や後にトラブルになりそうと判断された場合です。
実際どのような人が後見人になっているかについて、最高裁判所事務総局家庭局で公表している「平成26年成年後見関係事件の概況」をみると、約57%が弁護士や司法書士などの第三者(専門家)が後見人になっています。

どのようなことをするか

成年後見人は、本人の意思を尊重し,かつ本人の心身の状態や生活状況に配慮しながら,必要な代理行為を行うとともに,本人の財産を適正に管理していきます。
具体的には、主に下記のようなことをします。

・財産管理業務…不動産売買、年金受給、保険金請求、遺産分割協議の参加など
・身の回りの契約行為…入院手続き、医療費の支払い、介護サービス契約、施設への入所契約など。
・身の回りの諸手続き…郵便物の管理、確定申告、身体障害者手帳の交付請求手続きなど。

しかしながら、後見人の職務は、本人の財産管理や契約などの法律行為に関するものに限られており,食事の世話や実際の介護などは,一般に成年後見人等の職務ではありません。例えば、身元保証人になることや手術などの医療行為に同意すること、本人の遺言書を作ることはできません。身元保証人や医療行為の同意は、ご家族でなければできないということです(この点、後見人も身元保証人や医療行為をできるようにするか否かを検討しているようです)。もちろん、遺言書は本人しか作ることはできません。

また、後見人としての立場は、本人の死亡と共に消滅しますので、相続発生後の手続きなどは、基本的には、相続人で行うことになります。