相続のよくある質問

質問遺言書に記載の財産が全然無いのはなぜ?

父が遺言書を残してくれていて、そこには、郊外の自宅は同居していた弟へ、都内のアパートと預金は私へと記載されていたのですが、アパートは後見人に売られていて、預金残もほとんどありませんでした。
父は、亡くなる5年前に認知症になってしまい、私はちょうど主人の母を自宅介護しており、弟は仕事があったので、後見人を立てて、老人ホームに入居してもらっていました。
生前、後見人から私たち兄弟に、アパートの売却についての相談は一切されていませんでした。
こういうことはあるものなのでしょうか。納得がいきません。

答え遺言書を準備したら、任意後見制度の活用も検討しましょう

このようなことは、今後、増えるかもしれません。
このような手続きが、法的に問題あるかと問われれば、お姉様にはお気の毒になってしまいますが、原則として、問題ありません(財産を、きちんと被後見人のために使っていることが前提です)。
というのも、後見人は、被後見人の財産に損害を与えないように財産等の管理をしていく義務が有ります。不動産を売却しなければ、その後の生活を賄えない等の事情がある場合には、売却する必要が有ります。このとき、自宅を売却するには、裁判所の許可が必要ですが、投資不動産の売却は後見人が単独でできてしまう(計画に反映する必要は有ります)のです。
また、法定後見人の報酬は、裁判所が財産目録や後見計画等を確認して決めるものですので、不当に多額の請求をするなども考えられません。
そのため、後見制度の利用を検討している親族は、遺言書が存在することを知っているのであれば、その旨を後見人に知らせ、本人の権利擁護を実現しながらも遺言書内容と抵触するような行動を避けてもらう等のことを後見人に依頼しましょう。
遺言書の存在を親族に知らせたくない方もいらっしゃると思いますので、その場合は、遺言書を作成した本人が、自分で信頼できる親族や専門家等と任意後見契約をして、後で、親族がびっくりしない様に準備しておくのが安心です。
また、お金だけはしっかりと特定の人物に遺したいという必要性が強いのであれば、遺言でお金の行き先を決めるのではなく、あげたい金額のお金を生命保険金に変えて受取人指定をしておくという準備が有効でしょう。