相続のよくある質問

質問遺言書を勝手に開けてしまったらどうなるの?

父の相続が発生した。自宅の整理中に、金庫から父の書いたものらしき遺言書を発見したのだが、これは発見者がすぐに開封しても問題ないだろうか?開封してしまったら、他の相続人から遺言書の隠蔽・改ざんを疑われはしないか?

答え家庭裁判所で「検認」という手続きが必要です

公正証書以外で封印してある遺言書は、開封前に家庭裁判所で検認手続きをしなければなりません。
検認とは、遺言書の形状を調査・確認し、遺言書の内容を明確にして偽造や変造を防止するために行う、一種の検証・証拠保全のための手続きです。
(遺言書の内容の効力を証明するものではありませんのでご注意ください。)
検認を行わずに開封してしまった場合、遺言書が無効になることはありませんが、民法により5万円以下の過料に処される恐れがあります。

検認を行うには、以下の書類を揃えて、被相続人の最後の住所地管轄の家庭裁判所に申立手続をします。
1. 遺言書の原本
2. 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍(原本)
3. 相続人全員の戸籍謄本
4. 相続人全員の正確な住所がわかるもの(住民票等)
5. 被相続人の正確な最後の住所がわかるもの(除住民票等)

申立後、家庭裁判所から検認期日について申立人と相続人全員に通知がきます。
検認期日に、家庭裁判所に申立人が出廷し、遺言書の開封・検認を行い、申立人が開封済みの遺言書を受け取り、完了します。
申立人以外の相続人は出廷の義務はありません。検認後の遺言書の内容を知りたい場合や、遺言書の内容の控えを取りたい場合は、家庭裁判所に検認調書の発行申請を行うこととなります。

検認の手続きには平均2ヶ月程度かかります。検認が完了するまでは内容を確認することができないため、遺産を分けることもできません。さらに、相続税申告が必要な場合、申告期限が10か月であるため検認手続きを行うとかなりタイトなスケジュールとなります。
一方、公正証書遺言の場合、検認を受ける必要がないため、相続開始後,速やかに遺言の内容を実現することができます。さらに,原本が必ず公証役場に保管されますので,遺言書が破棄されたり,隠匿や改ざんをされたりする心配も全くありません。
公正証書遺言は費用が掛かってしまいますが、後の手続きを考えるとメリットが大きいと言えます。