相続のよくある質問

質問成年後見制度って、どれくらい利用しているの?

最近、成年後見制度ということを良く聞くようになってきました。
巷では、活用している人が多いような認識なのですが、実際、どれくらいの人が使っていて、本当に活用している人は多いのでしょうか。
皆さんどんなタイミングで、利用し始めるのでしょうか?
また、後見制度を利用する人のほとんどは、家族が後見人になっていると思うのですが、専門家などに頼む人はどれくらいいるのでしょうか。

答え成年後見制度を利用している人は、年々増えています

近年の高齢化により、ご家族に認知症などの方がいる方も多くなっていることから、
最近では成年後見制度を活用する方も増えています。
そうはいっても、いざ我が家も利用しようと思うと、「誰が後見人になってどんなことをするのだろう」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、成年後見制度の実際の利用状況と、相続の面から見た注意点についてお伝えしていきます。

(1)成年後見制度とは

成年後見制度とは、認知症や精神障害などによって判断能力が不十分な方々が不利益を受けないために、家庭裁判所に申請してその方々を保護または援助してくれる人(成年後見人)を付ける制度です。
成年後見制度には「法定後見制度」と「任意後見人制度」 の2つの種類があります。
法定後見制度は判断能力が実際に衰えてから利用することができ、任意後見制度は判断能力が衰える前から利用することができます。
さらに法定後見制度は、判断能力の程度によって「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれています。

(2)どれくらいの人が利用しているのか

左の表は、平成23年~平成25年末日までの成年後見制度の利用者数の推移です。
表を見てわかるとおり、全体的に見て成年後見制度を利用する人が年々増えています。

中でも飛びぬけて多いのが、法定後見制度の「後見」です。
後見は最も判断能力が低下しているという種類ですので、成年後見制度を利用しないとできないことが多い方に利用されています。
利用状況

(単位:件)/(参照)最高裁判所事務総局家庭局「平成26年成年後見関係事件の概況」

(3)何のために利用する人が多いのか

下記表は、平成22年~平成25年12月末日までの主な申し立ての動機別件数です。

預貯金等の管理・解約が最も多く、その次に施設入所等のための介護保険契約となっています。

特に預貯金等は、相続が発生すると遺産分割協議書がないとおろせない金融機関もありますので、後見人が必要となることも多いのです。

利用目的

(単位:件)/(参照)最高裁判所事務総局家庭局「平成26年成年後見関係事件の概況」

(4)誰が後見人になっているのか

左の表は、平成22年~平成25年12月末日までの、成年後見人と本人との関係別件数です。

注目すべきは、2番目に多いのが司法書士、3番目が弁護士となっており、第三者の方が親族よりも多いということです。

専門家が後見人になることで、もめる可能性は低くなり、スムーズに手続きができるのがメリットです。

成年後見人

(単位:件)/(参照)最高裁判所事務総局家庭局「平成26年成年後見関係事件の概況」