相続のよくある質問

質問相続人に未成年がいる場合はどう分ける?

私の主人は、若くして亡くなってしまいました。
今、主人のお義父様がいい年なのですが、私の子供は、まだ未成年です。
この場合、事前にお義父様にお願いしておいた方が良いことなどあるのでしょうか。
子供たちに、いきなり多額の財産が渡ることを懸念しています。

答え未成年者との遺産分割には、利害関係が無い親権者等の同意も必要になります
(1)未成年の相続人がいる場合の手続き

お義父様にもし何かあった場合は、お子様が相続人になるという前提でお話いたします。
お義父様が遺言書など、何も用意していなかった場合は、お子様も含めた相続人全員で遺産分割協議をしなくてはなりませんが、その中に未成年者がいる場合は、親権者の同意も必要になります。
本件の場合、お母様はお義父様の相続人ではありませんので、お子様の親権者として、同意していただければ、良いことになります。
しかしながら、もし未成年のお子様が2名以上いた場合は、もうひとりの同意が別途必要になります。
この場合は、裁判所に特別代理人を選任してもらいます。

特別代理人を選任するには、管轄の家庭裁判所に「特別代理人選任申立」の手続きを行うことが必要です。申立てにあたっては、次のような書類が必要となります。

【申立人】 親権者、利害関係人
【申立先】 未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所
【申立の必要書類】
・ 申立書(別添参照)
・ 申立人(親権者)及び未成年者の戸籍謄本
・ 特別代理人候補者の住民票及び戸籍謄本
・ 被相続人の遺産を明らかにする資料
  (不動産登記簿謄本及び固定資産評価証明書、預金残高証明書)
・ 利益相反に関する資料(遺産分割協議書案 等)
・ 特別代理人候補者の承諾書
※事案により上記以外の資料が必要な場合がありますので、管轄の裁判所に確認してください
【申立費用】 収入印紙 800円+切手代

必要書類をご覧のとおり、特別代理人の選任申立の際には、あらかじめ遺産分割協議書の文案を作成し、添付することが必要となります。
また、特別代理人候補者としては、相続人と利害関係のない第三者をあらかじめ申立書に記載することが必要です。親族に頼める人がいない場合などは司法書士等を特別代理人候補者としている人もいます。

特別代理人候補者には、相続人以外であれば申立てをすることができますが、最終的には家庭裁判所の判断で特別代理人が選任されます。

(2)お子様に多額の財産が渡ることの対策

未成年のお子様に多額の財産が渡るのが不安と思う方は多いと思います。まだ、働いてもいないのに、働くことがばかばかしくなりはしないか、浪費癖がつくのではないかなどの心配を聞くこともあります。
そこでその対策として、今回は3つご提案したいと思います。

① 生前に教育資金の一括贈与を活用してもらう

お子様にかかる教育費を一括してお子様名義の信託口座として開設する方法です。
今すぐ必要ではないけれど、後々必要になる場合などは、このような方法も有効なのではないでしょうか。
ただし、お子様が30歳になった時に残高が残っていた場合は、その残高に対して贈与税がかかること、また、教育費にしか利用できないことなどのデメリットもありますので、人によっては、あまり有効ではないかもしれません。

② 相続財産でお子様名義の個人年金などに加入する

お子様が、ある一定年齢になったときに一時にまたは、分割払いで受取ることができる保険に加入している方がいらっしゃいます。
これによって、確実にお子様が受取れますし、一定年齢になるまで原則として引き出せないので、浪費癖や勤労意欲を失うことも心配するほどでは無いように思います。
また、確実ではありませんが、商品によっては、支払った金額よりも多く受取れるものもあります。

③ 生前に遺言書などを用意してもらい、お母様に遺贈する

お義父様に遺言書を作成してもらい、お子様に相続させたい分をその親のお母様に遺贈する方法もあります。
この方法は、お義父様とお母様の信頼関係ができている方には有用だと思います。
本件のように、旦那様がすでに他界されているなどの事情がある場合には、今後かかるであろう子供たちの学費のことを考えると、お母様にとっては大変助かるでしょう。