相続のよくある質問

質問老人ホームで亡くなった場合に小規模宅地等の特例は受けられるの?

老人ホームに入所後、一度も戻らなかった自宅にも小規模宅地等の特例は適用できますか?

答え老人ホームで亡くなっても、一定の要件を満たせば小規模宅地等の特例が適用できます

老人ホームで亡くなった場合でも、下記の要件を満たせば、その入居又は入所直前に住んでいた自宅は、「被相続人等の居住のように供されていた宅地等」に当たることとされ、小規模宅地等の特例の適用が可能です。
 

① 被相続人が、相続開始の直前において介護保険法等に規定する要介護認定等を受けていたこと
② その被相続人が老人福祉法等に規定する特別養護老人ホーム等に入居又は入所していたこと
 

(1)「要介護認定等を受ける」とは
要介護認定等とは、日本の介護保険法等に規定する被保険者が介護等を要する状態であることを保険者が認定することをいいます。

要介護認定等を受けていたかどうかは、相続開始の直前までにされていればよく、老人ホーム等に入居又は入所をする時点で認定を受けている必要はありません。

また、この認定を受けるためには、市区町村に申し込んで、2回の判定を受けることで、要介護認定の区分を判定してもらいます。
区分は、介護を必要とする度合いによって、7つに区分されています。
「要支援1~2」と「要介護1~5」があり、区分によって公的介護保険から受けられるサービスの内容や支給限度額が変わります。

介護区分ごとの介護度の状態目安は下記のとおりになります。
 

要介護度 要介護状態の目安
要支援1 要介護状態が軽く、生活機能が改善する可能性が高い
要支援2
要介護1 食事や排泄など、時々介護が必要
立ち上がりや歩行などに不安定さがある
要介護2 食事や排泄に何らかの介助が必要
立ち上がりや歩行などに支えが必要
要介護3 食事や排泄に一部介助が必要
立ち上がりや片足の立体保持ができない
要介護4 排泄や入浴などに全面的な介助が必要
両足での立体保持が一人でほぼできない
要介護5 食事や排泄が一人でできず、日常生活を遂行する能力が著しく低下している

 
認定を受けるに当たって、チェックする項目は大きく5つあります。
 
① 身体機能・起居動作
② 生活機能
③ 認知機能
④ 精神・行動障害
⑤ 社会生活への適応
 
この認定等を受けていたことが要件のひとつとなります。
 
 
(2)老人福祉法等に規定する特別養護老人ホーム等か否か

もうひとつの要件は、租税特別措置法施行令四十条の二の2項に記載されている施設であるか否かとなります。
 

老人福祉法

■認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居
■養護老人ホーム
■特別養護老人ホーム
■軽費老人ホーム
■有料老人ホーム
 

介護福祉法

■介護老人保健施設
 

その他

■サービス付き高齢者向け住宅
■障害者支援施設・共同生活援助を行う住居
 
上記の施設に該当しているか否かについてですが、原則として、老人ホーム等を運営するに当たっては、都道府県知事に一定の事項を届出る必要があり、ほとんどの事業者は届出ています。
但し、万が一、この届出を怠っている老人ホーム等に入居等していた場合には、この特例も適用できないことになります。
心配な方は、入居時の「重要事項説明書」や、各都道府県のHPに記載があるようですので、確認してみてください。
それでも分からない場合は、老人ホームや各都道府県へ直接問い合わせてみてください。
 
 
上記2点の他、被相続人が老人ホーム等に入居等した後、その不動産を利用して商売をしたり、今まで家計が一緒ではなかった親族等が住まいとして利用していた場合(事業の用又は新たに被相続人又はその被相続人と生計を一にしていた親族以外の者の居住の用に供されている場合)には、適用できませんのでご注意ください。