相続財産には、相続税がかからない(非課税になる)ものがあります。どういったものがこれに該当するのでしょうか。主なものは、以下の通りです。
① 墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物
② 死亡保険金・死亡退職金
③ 国、地方公共団体又は特定の公益を目的とする事業を行う特定法人等(以下、「特定の公益法人等」)に寄付した財産

(1)墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物

お墓や仏壇などは、相続税がかかりません。
しかし、相続が発生した後に購入したお墓等は、相続財産ではなく、相続人が購入したと考えますので、相続発生前に準備する必要があります。
また、相続発生前に準備したものであっても、骨董的価値があるなど投資の対象になると認められた場合には、相続税がかかります。

これに関して、2012(平成24)年6月21日東京地裁で、自宅の庭にあるお稲荷さんの「敷地」が非課税財産とする判決がありました。
今まで、自宅外で不特定多数の人がお参りできるものの敷地は、「通り抜けできない私道」と同じ、「自用地価格×30%」の評価をしていましたが、これにより、非課税で評価できるようになりました。
このような敷地がある方は、一度、専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

(2)死亡保険金・死亡退職金

死亡保険金・死亡退職金については、一定の非課税枠が設けられています。
その価額は、以下の算式で計算します。

500万円×法定相続人の数

法定相続人の数をどう計算するかについては、こちらをご確認ください。
「法定相続人の数え方」

この点、保険金等を受取った方が、相続放棄をしていた場合等には、非課税にはなりませんので、ご注意ください。

(3)国、地方公共団体又は特定の公益法人等に寄付した財産

相続や遺贈によって取得した財産を国や、地方公共団体又は特定の公益法人等に寄附した場合等は、その寄附をした財産や支出した金銭は相続税の対象としない特例があります。
最近は、寄付を考えてらっしゃる方も多いように感じます。
昔より家族関係が希薄になり、揉めごとにしたくないと考える方や、お一人様が増えたことが影響するのではないかと思います。

寄付先は、例えば、「学校」、「日本赤十字社」、「ユニセフ」、「あしなが育英会」などが有ります。また、東日本大震災から数年がたちましたが、この復興のための「東日本大震災復興支援財団」などへの寄付も、他の要件を満たせばこの特例を受けることができます。
寄付先は、その他多くの団体が有りますので、寄付を検討している方は、寄付予定先に寄付することで、特例が受けられるかどうかを確認してみてください。

この特例を受けるには、次の要件すべてに当てはまることが必要です。
(1) 寄附した財産は、相続や遺贈によって取得した財産であること。
   相続や遺贈で取得したとみなされる生命保険金や退職手当金も含まれます。
(2) 相続財産を相続税の申告書の提出期限までに寄附すること。
(3) 寄附した先が国や地方公共団体又は教育や科学の振興などに貢献することが著しいと認められる特定の公益を目的とする事業を行う特定の法人であること。
(4) 寄付を受けた公益法人等が、寄付を受けた日から2年を経過した日において、その財産を、公益を目的とした事業の用に使用していること。

特定の公益法人の範囲は独立行政法人や社会福祉法人などに限定されており、寄附の時点で既に設立されているものでなければなりません。

相続税の申告書に寄附又は支出した財産の明細書や一定の証明書類を添付することが必要です。相続税の申告書の第14表が寄附又は支出した財産の明細書になっています。

(4)その他

他にも、相続人が公益事業や幼稚園の事業を行っている場合、心身障害のある方又はその方を扶養する方には、相続税がかからない場合があります。