相続のよくある質問

質問他の相続人とかかわらずに相続手続きをしたいですができますか

私は、特定の相続人ととても話ができるような関係にありません。
親の相続が発生したときに親の財産を引き継ぐには、相続人全員でコミュニケーションを
取る必要は有りますでしょうか。
一人を除いたほとんどの相続人だけの同意で手続きを終わらせることもできますか(過半数の同意があればよいなど)
もし不可能な場合、どうしたらよいかアドバイスをいただくことはできますでしょうか。
親はまだ元気です。

答え少なくとも遺言書を用意しましょう

相続手続きには、通常、どの財産をどの相続人が相続するかを決め、相続人全員が了承した旨を書面などにします。その書面をもって、金融機関の相続手続きや不動産の相続登記をしていきます。
この遺産分割は、相続人の話し合い(協議)で決めます。法定相続分というのが有りますが、それは、すべての財産を(誰がどの財産を相続するか決めて手続きをするまでの間)、その割合で全員が持っている状態ということに過ぎず、ほとんどの場合、手続きをするにはこの協議書等が必要なのです。
この時、相続人は全員で話し合いをしなければならないことになります。
話ができず、手続きをすべて諦めてしまっているご家族も少なからずいます。

その解決案として、ご両親に遺言書を用意していただくようお話しすることはできますでしょうか。

ここで重要なことなのですが、遺言書には、財産を誰にどう分けるかを記載して意思を伝える効果はもちろんのこと、その後の手続きを簡素化する効果もあります。

すなわち、もし、有効な遺言書があれば、様々な過程を省略することができるのです。

まず、遺言書が遺産分割協議書の代わりになると認められれば、分割協議を省略することができます。

また、各機関での手続きをスムーズにするために遺言書に含めていただきたいのが、遺言執行者の指定です。

遺言執行者とは、遺言を作成した人が亡くなって、相続が発生した際に、遺言書に書かれていた内容を実現するために遺産分割や名義変更などの相続に必要な手続きを行う人のことです。

遺言書があっても遺言執行者が指定されていない場合、金融機関(預金や株式など)や法務局(不動産など)は相続人全員の署名と実印の押印(遺産分割協議書等)、印鑑証明書の提出を求めるケースがほとんどです。

その点、遺言執行者はその手続きを単独で行うことができます。(※金融機関によって口座の解約要件が違う場合もあります)

遺産分割案が決まってもそれを実現するためにまた、話をしないと手続きができず、その状況の中、心変わりして「やっぱり~」とか「もう一度・・・」ということが起こり、せっかくの協議がやり直し、どんどん手続きが遅れてしまうということは、少なくありません。

遺言執行者は、未成年、破産者を除けば基本的に誰でもなることができます。また、法人(信託銀行など)であっても構いません。
相続人でもなることはできますが、遺言執行者は利害関係が複雑にからむことが多く、財産の分割内容によっては相続人間で揉めごとになり、手続きがスムーズに進まないなどといった事例もよくあります。
特に遺言書での分割指定で、紛争になりそうなことが危惧されるのであれば、相続に利害のない第三者、そして経験や知識を持っている専門家を遺言執行者に指定することをおすすめします。専門家は手続きのみであれば司法書士や税理士が選任されることが多いですが、裁判などに発展する可能性が高い場合は、弁護士を選任することが多いようです。

なるべく、相続手続きをスムーズにしていきたいということでしたら、遺言執行者の指定を含めた遺言書を作成することをお勧めします。ぜひ、検討してみてください。