相続のよくある質問

質問相続対策で孫に承継させるとどんな効果がありますか

相続対策として、孫に財産を承継することがよいという話を聞いたのですが、どのような効果があるのでしょうか。また、孫に相続財産を承継させるにはどのような方法があるのでしょうか。

答え代飛ばし相続のメリットと方法を解説します

孫に直接相続させる方が増えているという話は、よく耳にします。
孫に直接、財産を承継する方法は「代飛ばし相続」と呼ばれることがあります。
では、この代飛ばし相続、いったいどのような方法があって、それぞれのメリットとデメリットはどういうことがあるのでしょうか。方法毎にメリットとデメリットを解説していきたいと思います。

1.孫に財産を残す方法

孫に財産を遺すには、主に下記の4つの方法があります。孫は(代襲相続人である場合を除き)原則として法定相続人ではない為、生前に下記のような方法(対策)をとらなければ、直接財産を承継することはできません。

・生前贈与
・遺言書による遺贈(財産を信託する場合を含みます。)
・保険受取人に指定
・養子縁組

1-1.生前贈与

まず、生前贈与についてご説明します。
生前贈与は、誰に対してもできますので、もちろん孫に贈与することも可能です。
更に、祖父母から孫に贈与する場合は、税率の優遇もされています。

例えば、通常1,000万円を贈与する場合の累進税率は、高い部分で40%ですが、直系尊属(祖父母や父母など)から、贈与をした年の1月1日において20歳以上の子・孫などへ1,000万円を贈与する場合の累進税率は、高い部分で30%と優遇されています。

基礎控除を超える金額の贈与を行う場合には贈与税が発生しますが、贈与された財産に対する相続税が減ることを踏まえますと、結果として孫に財産を贈与した方がトータルの税額を抑えられる場合があります。

また、生前贈与には、暦年贈与の他、孫にも利用できる「教育資金の一括贈与」や「結婚・子育て資金の一括贈与」、「住宅取得等資金贈与」などの特例もあります。

生前贈与で孫に財産を遺す場合は、できるだけ早い段階から孫への生前贈与を始めることで、より相続税の節税効果が大きくなる可能性があります。その為、孫へ財産を承継させる場合は、バランスを考慮しつつ、計画的に行うことをお勧めします。

【メリット】
相続人に対して財産を贈与した場合、贈与した時から3年以内に相続が発生するとその贈与した財産は相続税の課税対象に加算され、生前贈与による効果はなくなってしまいます。
しかし、孫などの相続人以外に贈与をした場合は3年以内に相続が発生したとしても、原則としてその贈与財産は相続税の課税対象に加算されません。さらに、被相続人から孫に財産を移すことにより相続税が課税される機会を一代回避することができ、相続税の節税対策を図ることができます。

【デメリット】
多数居る孫のうち、特定の孫にのみ生前贈与するなど偏りが有る場合は、他の親族とのトラブルになる可能性があります。
また、贈与税率の方が相続税率より累進税率の上がり方が急激であるため、贈与する金額によっては贈与税が相続税よりも高くなる可能性もあります。

1-2.遺言書による遺贈(財産を信託する場合を含みます。)

次に、遺言書で孫に遺贈する方法について説明します。
法定相続人以外の方に財産を遺したいとお考えの方は、遺言書を書く方法や死因贈与契約を締結する方法などによらなければ、直接承継することはできません。相続人全員の同意があっても、法定相続人以外の方に相続によって財産を渡すことはできません(贈与税の課税対象になります)。
孫は、原則として、孫の親(被相続人の子)が亡くなっていない限り、法定相続人にはなりませんので、上記の方法などによらなければ直接財産を承継することができないのです。

【メリット】
被相続人から孫に財産を移すことにより、相続税が課税される機会を一代回避することができ、一族の相続税総額で考えた場合、税額が軽減される可能性があります。

【デメリット】
孫へ遺贈した場合、相続税が発生すると、2割加算された相続税が課せられます。(孫が代襲相続人である場合を除きます。)

1-3.保険受取人に指定

その他の方法として、生命保険の受取人に孫を指定しておくという方法があります。
この方法ですと、遺言書よりも気軽に手続きすることができ、かつ、より確実に特定の孫に財産を承継することができます。

【メリット】
保険金の受取人を指定することで、確実に孫に承継することができます。
また、相続税の対象になりますので、多額の場合でも、贈与の場合より累進税率の上がり方が緩やかです。

【デメリット】
相続によって受け取った死亡保険金は、法定相続人が受取人に指定されている場合、相続税の計算上は非課税枠が設けられておりますが、法定相続人ではない孫が保険受取人に指定されている場合は、受け取った死亡保険金は、生命保険の非課税枠の対象とはなりません。(孫が代襲相続人である場合を除きます。)
相続税が発生する場合は、非課税分が控除されることなく受取金額の全額が課税対象となります。
さらに、1-2同様、2割加算された相続税が課されます。(孫が代襲相続人である場合を除きます。)

1-4.養子縁組

少し抵抗がある方が多いかもしれませんが、養子縁組をする方法もあります。
養子縁組には普通養子縁組と特別養子縁組があります。
ここで利用できる方法としては、普通養子縁組となるでしょう。
普通養子縁組とは、実親との関係は存続したまま養親の養子となる方法です。実親の相続と養親の相続、どちらの場合も相続人となります。
この点、子が一人増えるのと同じことになりますので、法定相続人も増えることになり、親(被相続人の子)がご健在の場合は、親(被相続人の子)と同様の法定相続分となります。もし、親(被相続人の子)が既に他界している場合は、被相続人の養子としての相続分と代襲相続人としての相続分を合わせた相続分となります。

【メリット】
孫を養子にすることで、法定相続人が一人増えますので、基礎控除額や生命保険の非課税枠が1人分増えるなど、節税効果になる可能性が高くなります。

【デメリット】
相続税の計算上は、メリットの基礎控除額などに加算できる養子の数には、限りがありますので、増やせば増やすほど節税効果になることはありません。
また、特定の孫だけを養子にするなど偏りが有る場合は、他の親族とのトラブルになる可能性があります。
また、以前は節税目的の養子縁組は、直ちに否認されていたのですが、平成29年1月31日の判決により、節税目的の養子縁組も、直ちには否認されないということになりました。
ですが、養子になった場合、養子にもその後の人生に義務(養親の扶養義務など)などが課されますので相続対策のみのために養子縁組をするということであれば、慎重にご検討されることをお勧めいたします。

2.まとめ

今回は、孫に直接承継させる方法とそのメリットデメリットをまとめてみました。
孫に直接承継させることで、節税効果はありますが、承継する金額や家族構成、被相続人の相続財産の資産構成などによって、効果は個々に変わってきます。
節税だけでなく、揉めない対策として代飛ばし相続を行う方もいますし、孫が子育て世代で一番必要だからという理由で承継する方もいます。
孫は、一般的には、法定相続人では有りませんので、下記を注意して、ご家族にとって、より良い対策を講じていただければと思います。
・孫の親が元気なうちは、何か対策をしないと孫に直接承継できない
・遺言書は認知症の症状が出てからでは、作成できない可能性もある
・代襲相続人でない孫が相続で財産を取得する場合、相続税は2割加算になる