2017年にNHKあさイチの特集で弊社の税理士がコメンテーターとして「家族信託」の有効性についてお話しさせていただきました。
NHK「あさイチ」の生放送にスタジオ参加しました!
この「家族信託」や「民事信託」といった言葉を耳にする機会がTVや新聞等を通じて増えてきたのではないでしょうか。
「信託」と聞くと、信託銀行等が行う業としての「信託」を思い浮かべがちですが、こういったいわゆる「商事信託」や「投資信託」とは全く異なり、信託銀行等が業として行う信託ではない信託契約全般を「家族信託」や「民事信託」といいます。
「家族信託」は、「信頼できる家族にこれからの人生を信頼し、安心して託す」ための制度ですが、では具体的にどう託すのでしょうか。また、相続とどのような関係があるのでしょうか。
知っておきたい家族信託の仕組みや家族信託にできることできないことなど、基礎知識として必要なことを以下で説明します。

1.家族信託(民事信託)とは

一言でいうと、「家族に資産の管理・処分を任せる仕組みのひとつ」です。
「家族信託」は、不動産や預貯金などの財産を持つ人が、自分の老後や介護等、何か特定の目的の為に、その財産管理や資金の出し入れを、信頼できる家族に託すというものです。
従来の信託には、信託銀行などが行っている営利目的の商事信託と、信託報酬を得ないで行う民事信託がありました。
2007年に信託法が大きく改正され、民事信託の運用の仕方が明確になり、家族・親族が受託者となって財産管理を行うことがより簡単になりました。受託者が会社でなく、家族・親族である点から、今では「家族信託」と呼ばれることが一般的になっています。
家族のだれかに財産の管理をお願いするというどなたにでも安心して気軽に利用できる仕組みであり、この「家族信託」制度を利用すると、今まで実現することが難しいと思われていた柔軟な財産管理が可能になったともいわれています。

2.家族信託でできること

下記の図で示すように、家族信託では、「委任契約」「成年後見制度」「遺言」という3つの要素を一本化するに近いことができるようになりました。
これまで、それぞれが個別に考えられていましたが、家族信託によってすべての機能を一つの契約書をもって使えるようになったのです。
つまり、「家族信託」は、ご家族のどなたかが、認知症、病気、障害などの意思判断能力における問題を抱える前に、「家族信託」で、事前に相続対策や認知症対策ができるのです。
また、不可能だった二次相続以降の財産の承継先も指定することができるようになります。

3.家族信託の仕組み

家族信託の仕組みを、代表的な家族構成で実際に見てみましょう。
下記の図から、財産所有者の母を【委託者】、管理してほしい財産を【信託財産】とし、それを信頼する息子の【受託者】に託し、その財産から得られる利益を得る人【受益者】を再び母とします。
家族信託は、この三つの構造で成り立っています。
税務上の関係から、財産所有者である委託者が受益者となるケースがほとんどです。

上記のケースでは、受託者となる息子は、母との家族信託契約によって母が持つ財産の管理・運用・処分の権利が与えられ、委託者及び受益者である母は、それら財産からの利益を得る権利を持ちます。
要するに、アパートが母名義だと、母が認知症や脳卒中などで意思能力がなくなってしまった場合、賃貸借契約を結ぶとことや、修繕工事をすることができなくなる可能性があるのです。
もちろん、財産を処分することもできず、相続対策もできなくなります。
しかし、家族信託契約を結んでおくことで、賃貸借契約の締結や、修繕工事あるいは財産の処分や売却なども財産を管理してもらっている第三者が手続きを行うことができるのです。
高齢になり近い将来財産の管理に支障が出そうな場合にも、成年後見制度では実行することが難しいことを実現させることが可能な仕組みとなっています。

4.まとめ

家族信託の基礎的な概要を説明してきました。
本制度を利用することで、今まで「成年後見制度」などでは困難とされてきた柔軟な財産管理を実現することが可能になります。
しかし、制度も利用の仕方や理解を誤ってしまうと取り返しのつかないことになり、親族間での争う原因ともなります。
また、家族信託制度を理解している専門家も少なく、契約書ひとつでリスクが増える可能性も大いにあります。
必ず「家族信託」に強い専門家に相談しましょう。
相続ハウスでは、「家族信託」に非常に強く、お客様に真摯に向き合い、また実績も豊富な専門家をご紹介しております。
もう少し詳しくお話を聞きたいなどございましたらお気軽に相続ハウスにご相談ください。